※本コンテンツは、2021年5月25日に開催されたJBpress主催「第1回経営企画イノベーション」の内容を採録したものです。
株式会社セゾン情報システムズ
執行役員 HR戦略部 部長
小山 和也 氏
現状の市場背景と改革のスタート地点
セゾン情報システムズは、2020年度に創業50周年を迎えました。もともと西武流通グループ(旧セゾングループ)の中の情報戦略子会社という立ち位置からスタートし、旧来より長く続けているシステムインテグレーションビジネス「流通ITサービスビジネス」と「フィナンシャルITサービスビジネス」に加え、ファイル転送ミドルウエアの「HULFT(ハルフト)ビジネス」、そして“つなぐ”ということをキーワードに新たに立ち上げた「リンケージビジネス」という四つの事業が柱となっています。
私は、製造業界やIT業界などを経験してきましたが、30年間、一貫して人事を担当してきました。今、変化の激しい時代の中で、しっかりと「予測可能型」と「探索型」を兼ねたバイモーダルな企業に変身するための、さまざまな施策を展開しているところです。
まずは、DXの市場背景と現状について整理すると、DXという言葉は2016年のダボス会議で注目されるようになりました。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)という、予測不可能な社会の変化にも俊敏に対応できるよう、デジタル技術を活用して企業の文化や風土を変革し、企業価値を向上することを指します。働き方や組織の在り方、経営などの方針に関わる考え方の前提にもなっています。
2020年12月時点の経済産業省のDXレポートによると、95%の企業がDXをしっかりと実現できていません。未着手の企業もあれば、IT技術を導入するだけにとどまっている企業もあり、まだまだDXそのものが普及しているとは言えないのが現状です。
こうした背景の中で、私たちセゾン情報システムズがどのようなスタート地点からDXを進めてきたのかについてお話しします。事の発端は、当社が開発していた大型案件が、お客様と約束した日にリリースできず、多大なご迷惑をかけるという事態でした。損害賠償請求を受け、国内のSIer業界が震撼する事態を、当社起因で起こしてしまいました。50年前からSI分野を手がけ、必ず成功するという私たちの神話がここで崩壊してしまいました。
そこで原点に立ち返り、根本的な課題を見直すことから改革をスタートしました。まず浮き彫りになった経営課題は、技術開発力の不足。大規模なプロジェクトを完遂するマネジメント力の不足。そしてもう一つ、「上意下達の閉鎖的な組織風土」でした。私たちは人事の立場から、この組織風土を刷新していくことになりました。