本コンテンツは、2020年8月31日に開催されたJBpress主催「Digital Innovation Forum 2020 <夏>~デジタル変革によるイノベーションの実現~」での講演内容を採録したものです。
理想科学工業株式会社
コーポレート本部 情報システム部長
杖池 雅史 氏
優先順位を付けて、デバイスなどを順次配布して対応
当社の従業員は1746名で、グループ全体で3549名となります(2020年3月31日現在)。本日は、前者の約1700名(日本国内)に対して、いかにテレワークの対応をしていったかをご紹介します。
当社の事業内容は、売上の98%以上を印刷機事業が占めています。印刷機事業では、インクジェット技術を使った高速カラープリンターの「オルフィス」、孔版技術を使ったデジタル印刷機「リソグラフ」の2つを中心に、世界190の国と地域に提供しています。
当社のテレワークの推移についてご紹介します。2020年1月までに、管理職と営業外勤職を中心にテレワークを行っていました。規模としては500名程度です。そうした中、3月25日には東京都知事の要請があったことから、都内勤務者および在住者のテレワークを開始しました。
さらに4月7日には7都府県に緊急事態宣言が出され、4月16日にはそれが全国に拡大したことから、約1700名に対して、テレワーク手段の提供を情報システム部門として行いました。
テレワーク開始にあたっては2つの大原則を当社として定めました。まず「人命、安全の確保を最優先とする」、そして、「会社は社会の一員として、(お客さまの求める)果たすべき役割を停止させない」ということです。
テレワーク開始にあたっては、この2つを大原則として、いかに提供していくかが情報システム部門として課せられた使命になります。とはいうものの、実際には準備の時間も取れないままテレワークを強制的に施行したといった状況でした。デバイスやVPNのライセンス数が十分でない中、業務内容の優先順位を付けて順次提供していたといったというのが実情です。
VPNを利用した人数を日付別に見ると、1月は管理職と営業職が中心となって推移していましたが、4月の緊急事態宣言後には、利用者が一気に2.5倍に膨れ上がりました。
先ほどもお話ししたように、当社は優先順位を付けて、デバイスなどを都度提供していったわけですが、その優先順位付けの判断が適切だったかどうかといった観点や、回線の負荷がまだ大丈夫かといったところを確認するためにVPNのアクセスログの分析を行ないました。
VPNのアクセスログは、CSVでVPNのシステムから取得できます。当初は表計算ソフトで分析を試みました。しかし、ログが大量であったこと、またアクセスログ自体にはユーザー名しか情報がありませんので、所属情報など他の情報と関連付けを行なって分析を表計算ソフトで行うのは大変でした。そこで、BIツールを使って可視化を行なうことにしました。BIツールには「Domo(ドーモ)」を活用しました。
「Domo」を使えば、例えば可視化であれば、各本部別に色分けをし、それぞれの本部ごとに1日あたり何時間、VPNの接続があるかといったことがグラフなどで表示できます。4月、5月には「Domo」を使って、ライセンスの残数や回線負荷の状況を見ながら、優先順位を付けてデバイスの配布などを行っていきました。