今回は大河ドラマ『光る君へ』において、黒木華が演じる源倫子の女房で、まひろ(紫式部)や姫君たちに学問を指南する、凰稀かなめが演じる赤染衛門(あかぞめえもん)を取り上げたい。

文=鷹橋 忍 

月岡芳年『つき百姿 やすらはて寝なましものを小夜ふけて かたふく迄の月を見しかな』(部分)国立国会図書館デジタルコレクション

赤染衛門とは

 赤染衛門は、中古三十六歌仙の一人に数えられる女流歌人である。家集『赤染衛門集』を残した。

 藤原道長の栄華を中心に、宇多天皇から堀河天皇まで15代、約200年間の歴史を描いた歴史物語『栄花物語』の正編の作者ともいわれる。

 赤染衛門の歌才は『和泉式部日記』で知られる和泉式部と並び称され、当時の「二女流歌仙」とうたわれた。

 百人一首にも、赤染衛門の歌が見られる。

やすらはで寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな

(来て下さらないとわかっていたら、ためらうことなく寝てしまいましたのに、いらっしゃるとの言葉を信じて待ち続けていたら、夜が更けて、西の空に沈もうとする月まで見てしまいました)

 

秋山竜次が演じる藤原実資と同じ年?

 赤染衛門の生年は定かでないが、上村悦子『王朝の秀歌人 赤染衛門』では、天徳元年(957)ごろと推定している。

 ここでも仮に、赤染衛門の生年を天徳元年で計算すると、秋山竜次が演じる藤原実資と同じ年で、康保3年(966)年生まれの藤原道長より9歳年上となる。

 紫式部の生年は諸説あるが、仮に天延元年(973)年説で計算すると、赤染衛門は紫式部より16歳年上である。

 赤染衛門の父は、赤染時用(ときもち)だったとされる。時用は、衛門府に仕えた中下級官人だった。赤染衛門の名は、時用に由来するという。

 だが、時用は赤染衛門の実の父親ではなく、本当の父親は平兼盛だといわれる。