自然災害が多発する日本では、「想定外の事態」へ向けたBCP対策が不可欠だ。BCP対策の最優先課題は「人」だと話すのはトヨクモの代表取締役社長 山本 裕次氏だ。従業員やその家族の安全を確認し、いち早く事業を立て直すためにはどうすればよいのか。その鍵は 安否確認サービスが「本当に繋がるか」、「いざというときに使えるか」にあるという。山本氏に対策を聞いた。

災害に強い企業と弱い企業の分かれ目とは

 首都直下型地震や南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、BCP対策を急ぐ企業は少なくない。内閣府の調査によると「BCPを策定済み」と回答したのは、大企業で70.8%、中堅企業は40.2%に留まる。年々増加傾向にあるものの、万全とは言えない数字だ。

 BCP対策と一口に言っても、施設や設備の耐震化、発電システムの設置など項目は多岐にわたる。優先順位に悩んだとき、参考にするべきなのは過去の教訓だろう。

 同調査では「被害を受けた際に有効であった取り組み」として、自然災害の被害を受けた企業の回答のうち上位5項目を紹介している。トップ3は「社員とその家族の安全確保(45.2%)」「備蓄品(水、食料、災害用品)の購入・買増し(40.1%)」「リスクに対する自社基本的な対応方針の策定(37.0%)」と、ヒトに関する項目が上位だ。

 社会的な点からも企業が従業員や家族を守り、身体的、心理的安全を守ることは必要だ。そして、事業継続の観点から見ても、災害後の人員体制を迅速に立て直すことが重要なのは言うまでもないだろう。安否確認サービスを提供するトヨクモの山本裕次社長は、こう説明する。

「東日本大震災では、多くの人命が失われ、怪我や自宅の被災などで、事業を再開できる状態ではありませんでした。安否確認や災害対策本部の立ち上げに時間がかかり、従業員への指示が後手にまわると、その分だけ事業の再開が遠のきます。そうした事態にならないためにも、災害発生直後に『今、誰が動けるのか』を調査し、初動で被害発生の現状把握に努め、中核事業の継続に必要なモノや情報を見極めることが重要です」

 BCP対策の最優先課題はヒト・モノ・カネの中でも、ヒトだと指摘する山本氏。いち早く事業の復旧にこぎ着けた企業は、他社に手を差し伸べることもできる。

トヨクモ株式会社 代表取締役社長 山本 裕次氏

「被災で窮するお得意様を助けた企業は、その恩義から関係を強固にする傾向があります。一方で『連絡が取れない』『状況が不透明』など、図らずもお得意様の足を引っ張る原因を作ってしまった企業は、その後の取引を躊躇されてしまうことも。災害で直接的な打撃に見舞われなかったとしても、間接的な打撃を受けて取り返しがつかないほど立ち上がれなくなってしまう企業は少なくありません」

※令和3年度「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」

安否確認で重要なのは「災害時に繋がるか」

 甚大な災害が発生した際に従業員の状況を確認し、その安全を確保すること、そして、事業継続に向けた体制を立て直すことは企業の社会的責任だ。その責任を果たすためには、然るべき準備が不可欠になる。山本氏によると、準備で大事なのは「脱属人化したBCP対策」と「災害を想定した訓練」の2つだという。

「災害では想定外のことが起きるので、『あの人を中心にした復旧体制』のような属人的な計画は破綻しかねません。どれだけ想定外を想像して対策できるかが肝になります。そのため人に依存せず、動ける人が柔軟に意思決定できる対策が重要です。また、対策を立てたら、適切な訓練が不可欠です。特に安否確認はSNSやメール、電話といった通信を活用することがほとんどですが、大規模災害のときに通常通り機能するかは不透明です。本来は国や自治体主導で一斉訓練ができれば良いのですが、これまでのところ叶っていません」

 実は、トヨクモが提供している「安否確認サービス2」 の誕生は、東日本大震災発生時の通信の混乱に端を発している。当時、グループウェアを開発するサイボウズの社員だった山本氏は、東日本大震災で他社の安否確認システムが動作していなかったことに問題意識を抱いたという。

「集中アクセスによる負荷で、システムが安定動作しなくなることは熟知していました。しかし、安否確認システムは緊急時のために存在するものであり、そうした事態を前提に開発されるべきです。困っているときに使えないシステムでは、意味がありません。とはいえ、当時はほとんどのシステムがオンプレミスで自社にサーバーを置いている状況でした。オンプレミスの場合、災害時の回線の混雑が想定されるため、安定したサービス提供は難しい。そこで、当時脚光を浴びはじめていたクラウドに注目し、集中アクセスに強いクラウドを基盤にした安否確認サービスの開発に至りました」


トヨクモ 安否確認サービス2が災害時に止まらない理由

 こうした問題意識を踏まえて開発されたトヨクモの安否確認サービスは、災害時の3つの負「連絡できない」「安否の集計が大変」「事業復旧の遅れ」にフォーカスしている。

「連絡できない」に対しては、気象庁の災害警報に連動して自動で安否確認連絡を実施する「自動送信」の機能を搭載。これにより、属人的に情報を確認してまわる手間をかけず、効率的かつ迅速に安否を確認できる。

「安否の集計が煩雑」については、電話やメールなどの異なる方法で安否を確認すると、まとめる手間が膨大になってしまうが、それを避けるため利用者の回答を自動集計。部署ごとに最新の情報を確認できる機能を備えた。

「事業復旧の遅れ」は解消の一助として、会社の被災状況の共有や災害対策指示を円滑にするための掲示板やメッセージ機能を用意した。

 緊急時の使い勝手の良さを追求するため、ユーザビリティにもこだわっていると山本氏は説明する。

「強みはITやスマホアプリの操作が苦手な方でも簡単に使えるシステムという点です。緊急時に動作しないと意味がないのと同様、誰でも使えるシステムでないと意味がありません。例えば自動通知にしても、パスワード不要でワンクリックで安否を報告できます。これは他社と比較しても、極めてユーザビリティが高いインターフェイスだと自負しています。また、SmartHRやfreee人事労務などの人事労務システムとの連携により、従業員情報をワンクリックで同期することが可能です。管理者は個別に情報を更新しなくても良いので、平時の業務負担を軽減できます」

常に改善の繰り返し 一斉訓練を業界のスタンダードに

 トヨクモが安否確認サービスの提供にあたり何より重視しているのは、災害時にシステムにつながり、滞りなく安否の確認を実現すること。しかし、それを実現するには壁がある。災害時に通信にかかる負荷が不透明なことだ。

 どれくらいのアクセスが集中すると動作が止まる懸念があるのかは、通信会社から公表されておらず、実際に災害が起きなければ分からない。例えば、国や自治体主導で、社会全体でテストできれば望ましいが、これまで叶っていない。

 そこで、トヨクモの安否確認サービスでは、毎年防災の日(9月1日)前後に加入者を対象にした一斉訓練を実施している。2022年度は1,248団体、約44万ユーザーが参加したという。

「一斉訓練は実践に近い形式で、ユーザーの皆様へ通知を送り、システムにアクセスをしてもらいます。サーバーの負荷が想定内で収まり問題なく利用できる状態かどうか、スパムメールだと認識されないかどうか、アプリのプッシュ通知が問題なく届くかどうかといった確認や、その他にも改善の必要な部分がないかを検証し、サービスのバージョンアップにつなげています。また、ユーザーの皆様にとっても、訓練を繰り返すことで、災害時にスムーズに使いこなせるようになります」

 いつ・どこで・どの程度の規模で発生するか分からない自然災害。だからこそ、未知の事象が発生したときに使えるサービスでなければならない。大きな責任を負う以上、こうした一斉訓練は必須だと山本氏は強調する。

「集中負荷をかけたときに、想定通り処理できるかどうかを点検しておくことは、災害時でも安心して提供できるサービスだと胸を張れる根拠になります。そして、こうした取り組みが安否確認システムやBCP対策といった業界全体に広まれば、日本の『いざというときのインフラ』を強化することにつながると確信しています。一斉訓練を災害対策の『文化』にしていきたいのです」と強い使命感を滲ませる。

災害時に機能するためには訓練を通したサービス提供側、利用者側の定期的なアップデートが必要

 トヨクモの安否確認サービスは、現在までに3,000社以上に導入され、継続率99%と信頼性の高さが窺える。災害時の初動に遅れを生じさせないためにも、また対応が後手に回り経営の圧迫に陥らないためにも、危機管理の一環として、いま一度安否確認サービスの見直しや検討に取り組むべきではないだろうか。


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