押さえておきたい異色作・問題作4選

「47 Ronin」 (2013) 写真=Photofest/アフロ

●『マトリック』以前に挑んだサイバーパンクの最先端『JM』(1995

『マトリックス』より前の1995年、当時小説を中心に展開されていたサイバーパンクジャンルの中心作家であるウィリアム・ギブソンが、短編『記憶屋ジョニー』を自ら脚色した話題作で、キアヌ以外のキャストも北野武、ドルフ・ラングレン、アイスT、ウド・キアなど異色オールスタ―の陣容でした。決して悪くはない作品ですが、ちょっと期待が大きすぎたというのが公開当時の感想でした。

 

●日本時代劇への挑戦『47 RONIN』(2013

 タイトルどおり日本の「忠臣蔵」をモチーフに、江戸時代の日本を舞台に展開される”ファンタジー“時代劇。主演のキアヌに加えて、真田広之の大石内蔵助、浅野忠信の吉良上野介や、菊地凛子、柴崎コウ、赤西仁、田中泯など、力の入ったキャスティングでしたが、あまりにも有名な日本の忠臣蔵に西洋的なファンタジー要素(悪の魔術など)を入れたことが賛否を分けた作品でした。もしかしたら、剣と魔法のファンタジーがより一般的に人気を得た今日の方が抵抗なく観られる作品かもしれません。

 

●大スターになっても忘れない挑戦心『ノック・ノック』(2015

 キアヌ自ら製作総指揮に名を連ね、『ホステル』(2005)『グリーン・インフェルノ』(2013)などを手掛けたジャンルムービーの俊英イーライ・ロスが監督した意欲作で、1977年の低予算エロチックサイコサスペンスの秀作『メイク・アップ』のアップデイト版です(オリジナル版の主演女優の一人ソンドラ・ロックも製作総指揮としてクレジット)。

 名声も家族も持った男が、ある夜、迷い込んできた二人の女性の誘惑に負けて・・・という主人公をキアヌが演じます。とても意欲的で期待値しかないような陣容の作品ですが、それが災いした感じもありました。ただしヒロインの一人を『ブレードランナー2049』(2017)や『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2020)のアナ・デ・アルマスが演じていますので、これから価値が上がる作品かもしれません。

 

●“知る人ぞ知る”『ミュータント・フリークス』(1993

「ビルとテッド」シリーズで名コンビを組んだアレックス・ウインタースが監督(トム・スターンと共同)し、『ビルとテッドの地獄旅行』(1991)の直後に製作され、キアヌがクレジットなしで出演している“知る人ぞ知る”作品です。クレジット序列での主演はブルック・シールズ。

 フリークショウ(見世物小屋)を扱ったホラーコメディですが、映画祭などでの上映以外、通常公開が見送られたいわくつきの作品でもあります(その後Blu-Rayで発売)。

 キアヌは出演していますが、ある事情でどこに出ているか判らないところがポイントという作品です・・・。