日本企業がグローバル競争で勝ち抜くために、切っても切り離せない業務の1つが翻訳である。近年、精度の向上が著しいAI翻訳サービスが登場しているが、導入にあたりどのような点に着目し、活用していけばよいのだろうか。AI自動翻訳サービス「COTOHA Translator」の企画運営を行う、NTTコミュニケーションズ株式会社 池田翔氏に話を聞いた。

※本コンテンツは、2022年11月8日に開催されたJBpress/JDIR主催「Business Creation Forum」のセッション「50万人以上のビジネスパーソンが活用中!高精度・高セキュリティAI翻訳サービス『COTOHA Translator』」の内容を採録したものです。

ビジネスにAI翻訳サービスを導入するメリットとは

 一般的に社内における翻訳業務は社員が本業の傍らで対応することが多く、業務改善の効果が見えづらい分野である。NTTコミュニケーションズでAI自動翻訳サービス「COTOHA Translator」の企画運営を担う池田翔氏は、現在の翻訳業務を取り巻くビジネス環境を分析した上で、今一度、翻訳業務への対応方針を見直すべきではないかと提案する。

 昨今の日本における対外投資の推移を見ると、2020年はコロナ禍の影響で投資額が縮小したものの、2021年は復調傾向にある。さらに2022年度に入ってからは、海外出張といった物理的な移動も緩和されて、海外事業の再拡大を図る企業も増えてきている。

 また、われわれの「働き方の変化」という観点からもグローバルなビジネス環境は従来と変わりつつある。海外との商談もオンライン化が進み、渡航にかかる費用や時間が削減でき、参加人数の制限もなくなった。海外との商談に関しても、より密度の濃い打ち合わせを頻繁にできるようになった。

 その中でより重要度を増しているのがセキュリティに対する意識だ。世界各国でデータ保護強化の流れは強まり、日本国内でもかなり厳しい管理が求められている。データのやり取りや保管はもちろん、翻訳業務といった中間処理においても、これまで以上に慎重な対応が求められている。

 では、グローバルビジネスをオンラインで進めていく上で、翻訳業務はどのような場面で必要とされているのか。池田氏は次のように分析する。

「最も迅速な対応を求められるシチュエーションが『各国の当局対応』ではないでしょうか。各業界によって頻度や内容に差異はありますが、当局からの通達が来た場合や海外で新しいサービスを始める場合などには、対応や申請が必要になります。国によっては、数日単位で書類の提出を求められることもあり、多くの企業が非常に苦慮している部分です。また、外国語の論文や海外マーケットの資料の読み込み、海外子会社とのデイリーコミュニケーションといった場面においても翻訳業務は欠かせません」

 このような翻訳業務は「社内内製」「人手翻訳企業への外注」「機械翻訳サービスの利用」のいずれかで対応されていることが多いのではないだろうか。池田氏はその現状を踏まえて「課題を抱えている企業も多い」と話す。

「優秀なバイリンガルの社員であっても、20~30ページある資料を翻訳するとなると、例えば1週間がかりの大仕事になることもあります。また、翻訳企業に外注しても、人が翻訳するため所要期間は変わりません。納期やコスト面の課題は残ったままです。そこで人手に頼らない手段をとなると、機械翻訳サービスの利用が候補になりますが、セキュリティや品質の面で不安を感じられているのではないでしょうか」

プロと遜色ない翻訳精度と安心のセキュリティ

 そこで池田氏が提案するのが、AI自動翻訳サービス「COTOHA Translator」だ。COTOHA Translatorは、ブラウザー上で利用可能な機械翻訳サービスであり、特別なアプリケーションをダウンロードしたり、システムを構築したりする必要はない。利用可能な言語は、日本語、英語、中国語はもちろん、オプションでタイ語、ベトナム語といったアジア系言語、フランス語、ポルトガル語といったヨーロッパ系言語にも対応している。池田氏は、同サービスの特徴として6つを挙げる。

1.賢い(TOEIC960点超の翻訳精度)
2.便利(Officeファイルをまるごと翻訳)
3.簡単(たったの2ステップで誰もが使えるシンプルなUI)
4.速い(人が7時間かける翻訳を数分に短縮)
5.安心(見えない・残らない・使わない万全のセキュリティ)
6.安い(定額制で圧倒的なコストパフォーマンス)

 COTOHA Translatorには、NTTグループの日本語解析技術が活用されている。そのため、非常に高い翻訳精度を備えており、正確性はもちろん、情報伝達力も高いという。池田氏は「ネイティブのビジネスマンとほぼ同等かそれ以上、プロの翻訳者と比べても遜色のないレベルにまで達しています」と話す。

 さらに、「テキスト翻訳」と「ファイル翻訳」の2つの仕様が使い勝手のよさを実現していると池田氏。「テキスト翻訳」は、シンプルなUIにテキストをコピー&ペーストするだけで翻訳結果が返ってくるというもの。そしてもう一方の「ファイル翻訳」は、特にユーザーに好評を博しているそうだ。

「Word、Excel、PowerPoint、PDFといったファイルをドラッグ&ドロップでアップロードしていただくと、ものの数分で、フォントや形式を保持した形で翻訳されたファイルを入手できます」

 また、同サービスはセキュリティにも重きを置き、「見えない・使わない・残らない」という3つを柱にしている。

 アップロードされたファイルは暗号化処理が施され、第三者にファイルが見られることはない。さらに、元ファイルはアップロードされた瞬間にサーバーから完全に消え、翻訳結果のファイルも顧客が指定した日時を経過すると即座にサーバー上から削除される仕様だ。そして、同氏がセキュリティ面において最も重要なポイントだと話すのが「使わない」の仕様である。

「COTOHA Translatorは、AI自動翻訳サービスという名目で販売しています。そのため、翻訳結果がAIによって勝手に学習され他社に漏えいしてしまうのではないか、という懸念を持たれている人も多いのではないでしょうか。しかし、このサービスでは、お客さまが翻訳した結果をあえて学習に回しません。翻訳結果を二次利用されることが一切ないため、安心してご利用いただけます」

 さらにCOTOHA Translatorは、コスト面も優れている。定額制であり、どれだけファイルを翻訳しても料金は変わらない。使った分だけコストメリットが生まれるサービスだと考えれば、導入へのハードルも非常に低くなる。

サービスの導入事例に見る活用方法

 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社では、同社の150にものぼる国や地域のファームと緊密に連携を取りながら、グローバルな顧客案件に対応している。当初、翻訳業務は自社の翻訳専門チームが行っていたが、案件が増加しチームがパンクしつつあったという。そこでCOTOHA Translatorの導入を決めた。

「同社が翻訳サービスを検討するにあたって重視していたポイントは、セキュリティ面でした。お客さまの機密情報を翻訳するという特性上、シングルサインオンによる認証が可能であるかなど、高いセキュリティ基準を設けられていました。それらの条件に合致する形でCOTOHA Translatorを導入いただきました。現在は、毎月約2600人の社員の方が利用されています。Wordの資料に換算すると、月間で3万700枚ほどのファイルを翻訳利用されています。この膨大な量を、社内内製や翻訳企業への外注で対応しようとしたら、どれだけの時間と費用がかかることでしょう」

 続けて、同氏は自身が3年前まで勤務していたというNTT Communications Chinaの導入事例についても紹介した。

「NTT Communications Chinaでは、現地の日系企業の皆さまにNTTが保有しているサービスだけでなく、国内他社や現地企業のサービスも組み合わせながら、お客さまの課題に対してソリューションを提供する業務を行っていました。そのため、お客さまごとにさまざまなソリューションを売り分ける必要があり、各言語で提案書をつくる作業に非常に多くの時間を要していました。そこでCOTOHA Translatorを導入したことで、翻訳部分の稼働を大幅に削減することができ、より多くの時間を提案業務に使えるようになりました」

 COTOHA Translatorの導入によって、自身だけでなく同僚も含めて提案機会が増加し、営業収益の向上に資することができたと振り返る池田氏。これからのグローバルビジネスは、オンライン化によってさらにスピードアップしていくだろう。その勢いに乗り遅れないためにも、翻訳業務の効率化を図ることが重要である。

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