誇り高き狼

 頼朝が急死し、源頼家が二代目鎌倉殿の座につくと、壮絶な権力抗争の時代に突入する。

 まず、正治2年(1200)正月に、中村獅童演じる梶原景時が滅びた。

 景時の滅亡後、頼家を後見する比企氏と、頼家の弟・千幡(実朝)を後見する北条氏は激しく対立する。

 知家は、北条氏と比企氏のどちらについたのか。

 建仁3年(1203)6月に、千幡の乳母夫である新納慎也演じる阿野全成(頼朝の異母弟、北条時政の娘・阿波局の夫)が、頼家へ謀反の聞こえがあるとして、拘禁される事件が勃発した。全成は常陸国に配流されたのちに、頼家の命を受けた知家により、下野で誅殺されている。

 知家が北条時政の娘婿である全成を誅殺したことにより、呉座勇一氏は「比企氏は知家を、比企派に引き込むことに成功したと推察される」としている(『頼朝と義時』)。

 知家は、北条の敵に回ったのか。

 知家を演じる市原隼人は、ドラマのホームページでのインタビューで、知家を「一匹狼」と繰り返し称している。

 誇り高き狼は、北条の敵にも味方にもならず、抗争の時代を自由に気ままに駆け抜けていくのだろうか。知家から今後も目が離せない。