日常に溶け込んでひとつに

 おそらく来場者の多くは所持しているエヴァグッズを身につけてくる。そしてそれが展示されているものを見て喜び、手にした時の感動を思い返す。本博覧会はモノ・コトを実際に体験した人ほど当事者として楽しむことができる。それを身につけた自分の記憶も展示物であることを意識させられる。

 昨今は一見して「そう」とわからないグッズが増えた。その一端を担ったのはエヴァなのかもしれない。思い返せば会場入り口にあったレーザーディスクのジャケットが全てを物語っている。今だ色褪せぬハイセンスのデザイン。極太明朝体のテキストを並べたそれは多くのフォロワーを生んだ。当時は猫も杓子もエヴァ風デザインだった。あらゆる分野でエヴァ風デザインが起用され、それが一般化し溶け込んでいく。そうやって「エヴァ」が日常の一部になっていったのだろう。

 それを象徴するのがエヴァファンの部屋をイメージした「キミとエヴァの部屋」だ。エヴァ発のアパレルブランドRADIO EVAもコンセプトに掲げる「日常に溶け込む」とはどういうことかを再現している。筆者は当博覧会の肝がここに集約されていると感じた。

 ほぼエヴァグッズで構成された部屋だが、妙にリアルだ。そして自宅のインテリアの参考にできるのも重要なポイントだ。博覧会に展示されているモノは実際に日常に取り入れられる。関係者用の資料ではない。

 アクセサリー類、バッグ、アパレルは一見してそうとはわからない。しかしよく見るとDSSチョーカーだったり機体デザインだったりする。こんなにも普通に溶け込むのかと驚く。さりげなく推しと同じモノを身に着ける喜びがここに詰まっている。

 展示されているであろう自前のグッズを身につけて行くだけではなく、展示を参考にして日常にも還元できる。まさに「キミとエヴァとモノコト」の博覧会であると感じる。