圧倒的な物量を眺めてぽかぽかしよう

 そこからは怒涛だ。広いフロアを壁で区切らずさまざまなグッズを展示している。このカルチャーのごった煮感が渋谷っぽい。ぱっと見の印象は「映え」だ。どこを切り取っても絵になる。そういえば本イベントは「博覧会」であったことを思い出す。エヴァファンが一つ一つのモノを見て目を輝かせる場面が浮かぶ。

 かくいう筆者も語彙力が喪失し、ただ「かっけー!」「かわいい!」を連呼する生き物に成り下がっていた。 昨今では撮影OKの展覧会も多いが、ここまで映えるものはそうそうない。なにせ博覧会なので順路はないし音声ガイドもない。好きに見て好きに楽しめばいい。

 会場の左側がグッズやファッション、プロダクトなど「モノ」のエリア、右側がイベントや各種コラボレーションなど「コト」のエリアになっている。中心を走っているのは、「キュレーションランウェイ」と呼ばれるトピック展示。展示そのものがアトラクションのようで目を楽しませてくれる。

 立体物としての存在感で言ったらレーシングバイクと、そして光岡自動車のスーパーカーだ。初号機のデザインをそのまま取り込んだわけではないが、カラーリングだけでエヴァだとわかる。

 初号機の紫カラーはそれゆえに玩具メーカーから「売れない」と難色を示されたというが、結果的に差別化ができたのではないかと思う。天才的な配色だし、馴染みがないから感情を刺激される。これは畏怖なのか恐怖なのかわからない、わからないからこそ惹かれる。

 富士急ハイランドのアトラクションに展示されていたエントリープラグインテリアも存在感を放っている。2021年度の紅白歌合戦で司会の大泉洋が乗ったアレだ。こちらは車やバイクとは異なり、劇中のものを再現したモノである。キャラクターのイメージを膨らませたり、自分が乗っている様を想像したり、大泉洋に思いを馳せたり、さまざまな楽しみ方があるだろう。

 そして外せないのが「エヴァパチ」。TVシリーズの放映後の空白の時間にファン人口を拡大させたのがこれだ。当時は「あのエヴァがパチンコに!?」と衝撃だったと記憶している。おそらく多くのファンがそういう心境を抱いたに違いない。

 しかしパンフレットによると、パチンコを嗜む中年層がエヴァを知ったことで、部下が提案するコラボ案が通りやすくなったのだという。「コト」が広がる上で重要なポイントだったというわけだ。ここから人気が再燃し新劇場版の制作に繋がったと思うと感慨深い。

 一方のアパレルはモノ自体が大きいわけではない。そのため展示に並々ならぬこだわりを見せている。ハイライトは壁一面にレイアウトされたシャツ群だろう。天井までレイアウトされていて芸術的な側面すら感じられるエリアだ。デザインも幅広い。

 アパレルサイドの展示は現在も買えるモノが多く、まさにショーウィンドウといった様相。まるでウィンドウショッピングを楽しんでいる気分になる。