本コンテンツは、2021年3月23日に開催されたJBpress主催「第3回 リテールDXフォーラム」のセッションⅣ「小売のDX促進に不可欠な計画業務の効率化とは? 〜商品計画、品揃計画から経営管理連携で意思決定スピードを向上〜」の内容を採録したものです。

Board Japan株式会社
シニアプリセールスコンサルタント
池田 仁 氏

「Board」ソフトウェアが意思決定を改善させる

 ソフトウェアベンダーであるBoard Japan株式会社は、経営層・マネジメント層の意思決定を支援するプラットフォームを提供している。スイスとアメリカに本社を置き、日本を含めグローバルに27の拠点を展開する。

 同社が手掛ける「Board」ソフトウェアは、企業の各階層における分析・シミュレーション・計画・予測のためのプラットフォームだ。

●ビジネスインテリジェンス(BI)
●エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント(EPM)
●予測分析(PA)

 という機能を1つのプラットフォームで可能にし、顧客ユーザーの迅速かつ正確な意思決定――具体的には、中期経営計画(戦略計画)、予算/計画管理、見込・予測分析、What-Ifシミュレーション、財務/管理連結、収益性分析、インタラクティブダッシュボード、セルフサービス分析とレポートなどの業務をサポートしてくれる。

 Board Japan株式会社 シニアプリセールスコンサルタントの池田仁氏は、Board開発の経緯について次のように話す。

 「皆さまは、日頃いろいろなレベルで意思決定をされているかと思います。今までのデータを分析し、何がうまくいって何がうまくいかないのか、しっかりと見定めながら意思決定するのが理想ですが、現実的にはその意思決定プロセスにおいて『情報・データのサイロ化』や『プロセスの断片化』といった問題が付いて回ります。

 部門やシステムごとにデータが別々に存在することから、膨大なエクセル作業、特定データだけの解析、同一であるべき数値が複数存在するなどが発生し、結果として、信頼性に欠けるデータが生まれたり、人的ミス・属人化が発生したり、あるいは分断された戦略・財務・オペレーション計画に悩まされたりすることになります。そうした課題を背景に、われわれは意思決定の改善には統一プラットフォームが必要であると考えました」

Boardの強みと3つある機能の特徴

 Boardを導入した企業では、企業内のあらゆる階層の意思決定サイクル——「計画→実行→分析」においてBI・EPM・PA機能のそれぞれが関連し合い、かつ単一プラットフォーム上に実装される。意思決定の全てのフェーズを一つの製品で支援している点が大きな強みだ。

BIダッシュボード、レポーティング、分析、スコアカード
EPM:シナリオ計画、ワークフロー管理、コラボレーション、フォーキャスト
予測分析(PA):シミュレーション、クラスタリング、最適化分析、機械学習

 池田氏はBoardの具体的な機能の特徴についてもそれぞれ紹介した。

特徴①:データソースの取り込みが可能
 企業が持つレガシーシステム、クラウド、API、エクセルなどにある既存のデータソースは、全てBoardにアップロードして使用することができる。

特徴②:強力・柔軟な「Boardエンジン」
 Board内には多軸の観点でデータを保持するBoardデータベースを搭載。またビジネスロジックとして「データ入力とデータフロー」「配賦・配分、連結、シミュレーション」「ワークフロー」「リアルタイムコラボレーション(チャット)」「警告表示」「ブロードキャスト(メール)」といった機能・仕組みも備わっており、AIやマシンラーニングによる予測分析などにも対応する。

特徴③:あらゆるクライアントに対応
 HTML5対応のブラウザに対応。パソコン、スマホ、タブレットからアクセスできる。Microsoft Officeでのアドインも可能する。

 グローバルアナリストからの評価はBI・EPM・PAのいずれに領域においても高く、「1つの製品でこれだけ幅広く評価をいただいているのはわれわれだけだと自負している」と池田氏は話す。

Boardはリテール領域における「IBP(Integrated Business Planning)の最適解」

 リテール業界にもBoardの活用企業は多い。池田氏はリテールにおけるDXの成熟度についても紹介する。

 米国の市場調査会社IDCが行った調査レポート「IDC Spotlight: Retail Digital Transformation」。IDCが150のリテイラーを対象に、「リテール領域でDXがどこまで進んでいるのか」という調査を行ったところ、次の3つに分類された。

A:63% NOT DIGITAL STRATEGIC(進んでいない)
 全社戦略と切り離され、短期的で戦術的な事業部門主導のデジタルイニシアチブを使用している。

B:27% DIGITALLY DETERMINED(ある程度進んでいる)
 戦略的な共通のプラットフォームと一連のアーキテクチャパターンに基づいた、企業全体の統合テクノロジーアプローチを採用している。

C:10% DIGITALLY MATURE(かなり進んでいる)
 全ての活動は自動化されており、データ主導の意思決定が全社レベルで行われている。

 このA〜Cの3グループの売上・利益の推移を比較してみても、DXを進めている企業ほど売上・利益とも高い伸び率を示した。すなわち成長する企業ほど統合ビジネスプランニング(IBP)を取り入れており、池田氏は「IBPはDXの要」だと強調する。

 「特にBoardが目指すIBPは、リテール企業における戦略的な中長期計画も、現場業務に携わる方たちのオペレーショナル計画も、さらにはファイナンスの計画も全てBoardのシステム上で整合性が取れた状態で策定され、それらを実績データと比較することで、進捗の確認、課題の発見とその原因分析できる、更に課題に対する対応計画もシステムで管理する、そうしたソリューションです。」

3000社超の企業がBoardを活用

 そう述べた上で、池田氏はリテール領域におけるBoard IBPのキーベネフィットを次のように整理する。

●戦略
・戦略的なビジネスイニシアチブをシミュレートし、価値創造パスを評価
・ターゲットとゴールを各組織に展開
・経理・財務から各店舗まで統一された計画管理環境

●会計
・全ての層のアカウンタビリティーを満たすファイナンス計画
・小売り業務における会計的な視点をシームレスに提供
・ブランド、カテゴリー、エリア、チャンネル全体で収益性の向上

●リテール業務
・小売業計画プロセスのベストプラクティス:MD計画から販売計画、出店計画まで
・リテールテンプレートと個別要件へ対応可能な柔軟性
・コラボレーション、ワークフロー、スマートデータ入力、予測分析

 Board導入企業は既にグローバルで3000社超。国内にも多くの導入実績がある。セッションではリテール領域の導入企業として、以下の企業の活用例が紹介された。

・スポーツ用品販売「アルペングループ」/IBP
・アパレル販売「H&M」/ワークフォース計画・分析・モニタリング
・スポーツウェア販売「Puma」/グローバルサプライチェーン計画
・ドラッグストアチェーン「Walgreens」/ゼロベース計算
・小型家電・調理器具メーカー「SEB Group」/クラウドBI&EPM
・デパート「Kohl' Department Stores」/意思決定プラットフォーム
・ショッピングセンター「Klepierre」/設備投資計画の自動化

 そして、豊富な導入事例から一部を示しながら、池田氏はこう締めくくる。

 「われわれのホームページでは、ここに並べたユーザー企業様がどのようなことを考え、どのようにBoardを活用しようとしているのか、多数の事例を『お客様のサクセスストーリー』として掲載しています。ご検討される方は、ぜひホームページをご覧ください」

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