文楽ファンなら一度は行ってみたい一大イベント「内子座文楽」
現代的な新国小劇場では演劇としての文楽の面白さを堪能できる一方、文楽が生まれた江戸時代さながらの空気に包まれて観劇できるのが、愛媛県・内子町の内子座(うちこざ)。毎年、夏に行われる「内子座文楽」は、文楽ファンなら一度は行ってみたいと願う一大イベント。歌舞伎ファンにとっての金丸座「こんぴら歌舞伎」(香川県・琴平町)のような存在だ。
江戸時代から明治にかけて、木蝋や和紙の生産で繁栄した内子。豊かな町衆らが財を出し合ってつくった芝居小屋が内子座だ。開場は1916(大正5)年、柿落とし興行は人形浄瑠璃だった。その後長い時を経て1995(平成7)年、内子座文楽第1回公演が行われ、今年が第25回。8月24日・25日に4公演を実施する。
演目は『寿柱立万歳(ことぶきはしらだてまんざい)』と『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』合邦住家(がっぽうすみか)の段。クライマックスを語ることを許された「切語(きりがた)り」は現在3人のみだが、そのうちの2人、豊竹若太夫(とよたけわかたゆう)と竹本錣太夫(たけもとしころだゆう)が参加、三味線の実力派、鶴澤清介(つるざわせいすけ)と鶴澤燕三(つるざわえんざ)、人形の人間国宝3人のうちのふたり、吉田和生(よしだかずお)・吉田玉男(よしだたまお)も出演という、文楽ファン垂涎の布陣。
このあと9月から内子座は改修のため4年間休館となるので、内子座文楽もしばらくお休みだが、改修なった後には引き続き文楽公演が行われることを期待しよう。
【公演情報】
●令和6年9月文楽鑑賞教室 / 社会人のための文楽鑑賞教室
新国立劇場 小劇場(東京・初台)
9月7日~9月22日(13日は休演) 各日11時半、14時半、18時の3回公演
『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』火の見櫓の段
解説 文楽の魅力
『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』釣船三婦内の段・長町裏の段
*9月16日・18日・19日・20日の18時は、初めて文楽を見る外国の方向けの公演『Discover BUNRAKU』となる。
*9月に新国立劇場にて、歌舞伎と文楽とで同じ演目の『夏祭浪花鑑』を上演。手軽に観くらべることができるお得な「夏祭セット割」もあり。
https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2024/6912/
●内子座文楽第25回公演
内子座(愛媛県・内子町)
8月24日・25日 各日10時、14時の2回公演
『寿柱立万歳(ことぶきはしらだてまんざい)』
『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』合邦住家(がっぽうすみか)の段
https://www.town.uchiko.ehime.jp/site/bunraku/
【そのほかの公演情報を知るには】
●文楽協会
【チケットを手に入れるには】
●大阪・東京公演
国立劇場チケットセンター(会員登録無料)
各種プレイガイドでも取り扱いあり(一部の公演に限られる場合も)。地方公演はそれぞれの劇場に問い合わせを。
【参考文献・参考サイト】
桐竹勘十郎『なにわの華 文楽へのいざない』淡交社
藤田洋『文楽ハンドブック』三省堂
松平盟子『文楽にアクセス』淡交社
三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』ポプラ社
山田庄一『文楽入門』文研出版
吉田玉男・山川静夫『文楽の男 吉田玉男の世界』 ほか
文化デジタルライブラリー
※情報は記事公開時点(2024年8月22日現在)。