文=酒井政人

2023年10月15日、マラソングランドチャンピオンシップ男子で優勝した小山直城 写真=日刊スポーツ/アフロ

MGCトップの小山は「8位入賞」が目標

 日本時間の8月10日15時00分(現地8時00分)にパリ五輪の男子マラソンがスタートする。日本勢は小山直城(Honda)、赤﨑暁(九電工)、大迫傑(Nike)の3人が〝史上最難関〟といわれる高低差156mの厳しいコースに挑む。レース直前、彼らはどんな心境なのか。「マラソン日本代表選手オンライン取材」での言葉を紹介したい。

 昨年10月のMGCを制して、堂々の〝トップ通過〟で日本代表になったのが小山だ。2月の大阪マラソンで2時間06分33秒の自己ベストをマーク。パリ五輪に向けては6月中旬から米国コロラド州ボルダーで初めての海外高地合宿を行い、その手応えを感じている。

「最初の1週間ぐらいは呼吸が苦しかったんですけど、慣れてくれば普通に練習ができました。集中して練習できたのが一番良かったです。ボルダーでは高地トレーニングと坂対策を行ってきました。今回の起伏に対応できるような場所で練習してきましたので、五輪コースは大丈夫かなと思っています」

 7月21日に帰国後は北海道で最終調整を行い、渡仏。初の世界大会となるが、メンタル的にも充実しているようだ。

「レースに向けて順調に練習ができましたので、いつも通りの状態です。気持ちの面では緊張していますが、いつものレース前の感じかなと思っています」

 小山は日本陸連の科学委員会で汗の分析を2回実施した。マグネシウムなどの排出量が少ないというデータが出ており、科学的にもコンディションは良好だという。本番では〝入賞〟を目指して、クレバーなレースを展開するつもりだ。

「来年の東京世界陸上の内定条件にも当てはまるので、8位入賞を目指して頑張っていきたいです。15㎞から上り坂が始まりますが、リオと東京の五輪は25㎞ぐらいからレースが動いた。今回も似たような感じになるのかなと思っています。出る選手全員がライバルです。特にケニアとエチオピア勢を意識してレースを進めていこうかなと考えています」

 入賞に向けては、「集団がわかれるタイミング」の見極めをポイントに挙げた。レースが動いたときに、小山がどの位置を選ぶのか注目したい。