5000mは青学大勢が存在感

 強烈スパートを見せた伊藤達彦(Honda)が制した男子5000mでも学生勢が活躍した。トップは1000mを2分35秒で入ると、3000mを7分56秒で通過した。この高速レースに青学大勢が食らいつく。前半は黒田朝日(3年)が上位でレースを進めると、後半は鶴川正也(4年)が浮上。最後は壮絶なラスト勝負を繰り広げた。

2024年6月28日、日本選手権、男子5000m決勝、優勝した伊藤達彦(Honda)写真=YUTAKA/アフロスポーツ

 優勝した伊藤が大会新&日本歴代7位の13分13秒56、2位の森凪也(Honda)も日本歴代10位の13分16秒76。上位9人中8人が自己ベストとなったレースで、鶴川は4位に食い込み、日本人学生歴代2位の13分18秒51を叩き出した。

 他の学生勢は花岡寿哉(東海大3)が15位(13分37秒40)、伊藤大志(早大4)が17位(13分38秒20)、黒田が19位(13分40秒18)、吉居駿恭(中大3)が22位(13分50秒01)、折田壮太(青学大1)が28位(14分15秒00)だった。

 関東インカレでマークした自己ベスト(13分24秒90)をさらに更新した鶴川。レース後は喘息の症状が出て、立っていられないほどに苦しんだ。それぐらい自分を追い込んでいた。

「1000mの通過タイムが2分35秒で『ヤバい』と思いました。2000mからずっときつかったんですけど、前に(黒田)朝日がいたので、何回も何回も粘ったら、いつの間にかラスト1周で前にいました。後輩が頑張ってくれたので、僕も絞り出して、最後まで行けたと思います」

 鶴川は2週間前にアキレスを痛めて、ポイント練習を1回飛ばしたという。週に1度は距離走を入れるなど、5000mにしっかり合わせてきたわけではなかった。それでも初めての日本選手権で大健闘ともいる結果を残したが、本人はまったく満足していない。

「プランは全然なくて、ただ最後に勝つ。それが僕の目標でした。結果は悔しいですけど、全力は出せましたし、めちゃめちゃ追い込めたのでいいトレーニングになりました。また強くなったと思います。青学はスピード練習をさほどやっていないので、実業団で5000mに特化した練習をやれば絶対にいけると思います。今回はラストのキレがなくて負けましたが、次(来年)は勝てるんじゃないでしょうか。世界を目指す気持ちが出てきましたね」と鶴川は来年の東京世界陸上を狙っていくつもりだ。

 日本選手権に参戦した学生ランナーは少なかったが、7月は北海道のトラックレースが待っている。ホクレン・ディスタンスチャレンジ(6日の北見大会、10日の網走大会、13日の士別大会、17日の深川大会、20日の千歳大会)と14日の関東学生網走夏季記録挑戦競技会だ。次はどんな好タイムが誕生するのか、楽しみにしたい。