ノイズの理由

 まず、エンジンの振動とノイズは、オプションで用意されている“マークレビンソン・プレミアムサラウンド・サウンドシステム”を装着しているか、どうかの差だという。実は、FWDモデルの試乗車にはマークレビンソンがついていて、4WDモデルにはついていなかった。なぜ、オーディオが高級になると車内が静かになるかといえば、このシステムにはアクティブノイズコントロールが内蔵されていて、エンジンの振動や騒音を電子的にキャンセルしているのだそうだ。

こちらはマークレビンソン・プレミアムサラウンド・サウンドシステムを装着していないAWDモデルのインテリア

「だったら、スタンダードのオーディオにも同じ機能を持たせればいい」と思われるかもしれないが、標準装備のオーディオにはマークレビンソンと違ってサブウーファーがなく、騒音や振動を打ち消す高い効果は期待できない模様。それでも開発陣はスタンダード・オーディオにもアクティブノイズコントロール機能を搭載する計画とのことだが、ちょっと“泥縄”の感がしなくもない。ちなみにマークレビンソンのオプション価格は25万1900円と高価だが、これがあるかないかで騒音や振動の印象が大きく異なることは間違いないと思う。

ハーシュネスの理由

 もうひとつのゴツゴツ感(これをハーシュネスという)は、リアサスペンションの型式が影響しているそうだ。ちなみに、それぞれのリアサスペンションはFWDモデルが半独立式のトーションビームで4WDモデルが独立式のダブルウィッシュボーン。誰が聞いても4WDモデルのほうが乗り心地は上質だと思うはずだが、ダブルウィッシュボーンのロワアームはハブキャリアを前方から引っ張るトレーリングアームのようなレイアウトで、これが段差に乗り上げたときに突き上げ感を生み出す要因となっているそうだ。

前輪駆動モデルのリアサスペンション(LEXUS新型「LBX」メディアキットより)
四輪駆動モデルのリアサスペンション(LEXUS新型「LBX」メディアキットより)

 したがって乗り心地重視ならFWDモデルがお勧めとなるのだが、雪国で暮らす人々にとってはそうもいかないはず。悩みどころだ。

 というわけで、現状のLBXを「8万円もするスニーカーのように素晴らしい仕上がり」と手放しで褒める気にはなれない。ただし、最近のレクサスは、LSにしてもLCにしても、デビュー当時とは見違えるほど洗練されたクルマに生まれ変わっていて驚かされることが多い。きっと、レクサスの開発チームは「どこをどうすれば、レクサスらしい乗り味が作れるのか?」というコツのようなものが掴めているのだろう。彼らの実力をもってすれば、前述したLBXの弱点もきっと克服できるはずと期待して、この試乗記を締め括ることにしたい。