レヴォーグとレイバックの差

 搭載されるエンジンが水平対向4気筒の1.8リッター・ターボで、ギアボックスはリニアトロニックと呼ばれるCVTとなる点はレヴォーグと基本的に共通。ただし、タイヤサイズは225/55R18に大径化したうえで、オールシーズンタイヤを装着することでオフロードや雪道にもある程度まで対応している。

 走り始めると、まずは静かでソフトな乗り心地であることが印象に残った。ステアリングの操作感は滑らかで心地いいが、記憶のなかにあるレヴォーグと比べると、ステアリングを切るのに必要な力がやや軽くなっているような気がする。この点、幅広いドライバーから歓迎されることだろう。

 中低速コーナーが中心の大佐渡スカイラインではリズミカルなアクセル操作が求められるが、Dレンジで走っている場合、アクセルオフでエンジン回転数が一旦3000rpm以下まで落ちると、改めてアクセルを踏み直してもパワーが立ち上がるまでにひと呼吸が必要となり、もどかしさを感じる。そんなときは、リニアトロニックのマニュアルモードを使えば高回転域を維持するのも容易で、レスポンスのいい走りが楽しめるようになる。

 こうしてレヴォーグ・レイバックを走らせるコツを掴むと、自然とペースも上がってくる。すると、それまで気付かなかった“クセ”にも気付くようになった。

 普段は一般道として用いられる大佐渡スカイラインには、何ヵ所か路面に深い段差のようなギャップがあるのだが、ここを高いスピードで強行突破すると、ボディのフロントがポーンと跳ね上げられるような傾向が見受けられた。ただし、それでステアリングがまるで利かなくなってしまうとか、危険な姿勢に陥るということは決してないが、ボディが大きくバウンシングしたことで前輪の接地感がかすかに薄れたことは事実。いっぽうで、私の記憶のなかにあるレヴォーグは、こんなときでも低い姿勢を保ったまま、執拗に路面を捉え続けていたはずだ。

 どうやら、この辺が全高を高くした弱点といえそうだ。ただし、最低地上高を高めたことでオフロード性能は向上しているはずだし、SUV風に見えるスタイリングに魅力を覚えるファンも少なくないだろう。そして最低地上高を上げたうえで快適性も改善しようとすれば、ややフワフワとした乗り心地となるのはやむを得ないところ。レヴォーグ・レイバックの場合も、「少しフワフワしていて、極端な状況では接地性がやや薄れる」ことがあったけれど、これは欠点というよりも「ある種のキャラクター」といえないこともない。

 レヴォーグ・レイバックの試乗後、レヴォーグの通常モデルで駐車場をひとまわりしてみたが、こちらのほうが乗り心地は引き締まっていて、ステアリングも重めに感じられた。要は私の記憶は正しかったのだが、だとすれば、レイバックと普通のレヴォーグの差は意外と大きいように思う。つまり、オンロード最優先でややソリッドな乗り心地やハンドリングがお好みならレヴォーグが、オフロードを走る可能性もあってハンドリングよりもソフトな乗り心地がお好みであればレヴォーグ・レイバックがお勧めだ。

 いずれにせよ、最新のスバルらしく走りの実力が高いことは2台に共通した傾向といえる。