留学生を擁する大学は日本人エースが鍵

 今大会は留学生(出場は1校1名)が過去最多の7名が出走予定。全員がケニア人選手だ。もはや〝留学生頼み〟の大学はシード権すら獲得できず、上位を狙うには日本人エースの存在が必要不可欠になっている。

左・2022年1月2日、第98回箱根駅伝、1区を走る 葛西潤(創価大) 写真=松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

 留学生パワーと日本人エースのハイブリッドな攻撃が可能になるのが創価大と東京国際大だ。創価大は初出場した全日本大学駅伝で5位に入り、10000m上位10人平均タイムで4位の戦力を誇る。なかでも前回2区2位のフィリップ・ムルワ(4年)、同4区区間賞の嶋津雄大(4年)、全日本大学駅伝2区で駒大・佐藤圭汰(1年)、順大・三浦らを抑えて区間賞(区間新)を獲得した葛西潤(4年)の3人が超強力だ。

 榎木和貴監督は総合優勝を達成するために、3本柱のひとりを復路に配置することも考えているが、前回は3区が区間17位と低迷した。復路で追いかけるよりは、往路を上位で突っ走った方が、2強にプレッシャーを与えることができるだろう。個人的には1区葛西、2区ムルワ、4区嶋津という配置がいいのではないかと感じている。

 1区に吉居が来ても、葛西なら十分に対応できる。駒大より先にタスキを渡すことも可能だ。2区ムルワは駒大のエース田澤廉(4年)に追いつかれたとしても、最後の上り坂で突き放せるだけの脚力を持っている。3区をうまく乗り切れば、4区嶋津で首位に立つチャンスが出てくるだろう。

右・2022年1月2日、3区を走る丹所健(東京国際大)写真=松尾/アフロスポーツ/日本スポーツプレス協会

 東京国際大は前回3区区間賞の丹所健(4年)が今回は2区を希望している。一方で2区と3区で区間記録を持つイェゴン・ヴィンセント(4年)は故障で出雲と全日本を欠場。大志田秀次監督は〝最強留学生〟を3区もしくは4区で起用したいと考えているようだ。ヴィンセントは4区に出走すれば「3区間での区間新記録」というターゲットができて、高いモチベーションで臨むことができるだろう。ただ優勝争いに加わっていくことを考えると、3区ヴィンセントで一気に攻めた方が、2強を脅かす戦いができるのではないだろうか。

2022年1月2日、第98回箱根駅伝、2区を走る 伊地知賢造(國學院大) 写真=アフロ

 全日本で過去最高の2位に入った國學院大は先に挙げた4校ほど強烈なエースはいない。しかし、中西大翔(4年)、伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の4本柱に加えて、青木瑠郁(1年)が全日本5区で区間賞。前々回6区を4位と好走した島﨑慎愛(4年)も控えており、総合力はかなり高い。優勝ラインが下がれば初優勝のチャンスは当然あるが、自らつかみにいくなら5区で勝負するしかない。前田康弘監督も「優勝するには山で稼ぐしかない」と話しており、出雲と全日本でアンカーを務めた伊地知を往路のアンカーに入れて勝負してきそうだ。

 箱根駅伝は10区間あるが、近年の優勝争いは8区までにほぼ勝負がついている。ダークホースの大学も〝前半勝負〟で2強を追い詰めるのが勝つためのセオリーになるだろう。