※本コンテンツは、2021年4月23日に開催されたJBpress主催「第2回 ものづくりイノベーション」のセッションⅠ「ネクストノーマル時代の“つながる工場”がもたらすデジタル改革」の内容を採録したものです。

株式会社セールスフォース・ドットコム
セールスエンジニアリング本部
Analytics Specialist
木浦 武志氏

製造業の課題の多くはリモート化に起因、積極的にデータ化を進めて差別化を

 セールスフォース・ドットコムは、右肩上がりの成長を続けており、2020年度の売上高は171億ドルとなりました。誇らしいのは、米国のビジネス誌『FORTUNE』等で、社会貢献や企業文化のリーダー的存在として評価されていることです。当社のビジネスはサブスクリプション型であるため、お客さまと共に成長できていることを実感します。

 そうした中、お客さまとの会話で昨今、頻繁に耳にするのが「デジタルへの移行」です。これは2020年度に想定外に在宅勤務が急速に進んだことが主な要因と考えられます。デジタル化の進行は、今後もさまざまな局面で加速していくでしょう。

 近年の状況変化における製造業の対応については、幾つかの課題が明らかになっています。最大の課題は、従業員のリモート化による安全管理・働き方の変化への対応です。仕組みやインフラの整備が追い付いていない状況にあります。

 また、顧客対応もリモート化が進む中、クレームや見込み需要の把握が難しくなっているという問題もあります。その他には、オンライン化された装置が収集する稼働管理などのデータを、リモート化した従業員がいかに効率的に活用するかも課題となっています。

 これらは、いずれもこれまで対面で、きめ細やかに行われていた業務が、オンライン化・リモート化したことが要因となって発生したものです。

 ただし、これは見方を変えれば、対面中心だった頃と比べ、あらゆる情報がデータ化しやすくなっていると考えることもできます。つまりオンライン化の効率化やデータの利活用を進められれば、他社との差別化を図るチャンスとも言えるわけです。