求められる「外部環境の変化を見る、今後を読む力」

 総務が「戦略」に踏み出すには、何から始めるべきか。避けて通れないのが、コロナウイルス感染症の問題です。これは日本の企業運営の近年史において、バブル崩壊、ITバブル、リーマンショックに続く、4つ目の大きな外部環境の変化です。

 今回のコロナ禍が過去の外部環境変化と異なるのは、テクノロジーの進化を背景に、働き方の劇的な変化が起こっている点です。総務が担当する業務のボラティリティーが非常に大きくなっており、戦略策定が過去よりも格段に難しい状態と言えます。

 具体的には、リモートワークの進展などで企業にある諸機能の分散化が進んだことが挙げられるでしょう。

「毎朝チェックするEメールを中心に1日の仕事が回り、Word、Excel、PowerPointは三種の神器」という姿は、既に過去のものになりつつあります。仕事に不可欠だったEメールは一つの役割を終えつつあり、これからはクラウド上の業務プラットフォームがますます台頭していくでしょう。そこに実装されるさまざまな機能が、従業員の多様な働き方や生産性の向上に寄与するようになります。

 このような変化の方向性の中で議論されているのが、「何のためのオフィスか?」ということです。「オフィス=出勤して働く場所」にあらず、オフィスは「コラボレーションしに行く場所」「新規顧客とのアポのために出掛ける場所」「共同ワークをしにいく場所」「イノベーション求めにいく場所」「癒やされにいく場所」「会社に対する帰属意識を確認する場所」なのです。これからの総務は、こうしたオフィス変革の方向性に、戦略的に応えなければいけません。

加速する働き方改革の中で総務はいかなる視座を持つべきか?

 例えば、コロナ禍以前、従業員1000人の会社なら従業員規模に比例した広大なスペースを用意していればよかったはずです。コロナ禍に見舞われた直後は、密回避のために必要な空間についての議論がなされ、ソーシャルディスタンス的な観点から“より広大なスペース”が必要、との判断に至ったかもしれませんが、加速する働き方改革において、テレワークやフリーアドレスを積極的に採用すれば、オフィスの回転率は上がり必要スペースはむしろ縮小されます。

 これをコストの観点から考えてみると、ファシリティコストは1人年間100万円〜150万円くらいかかるといわれています。そのうち約半分はハード(不動産)に対するコスト。上記のようなオフィス変革を断行することで、多くの予算を生み出せるということです。では、浮いた予算をどこに投資すべきなのか。私は「人への投資」だと考えています。

 半減するハード系の削減分は、社内再投資に回すことができます。総務だけでの予算消化ではなく、人事の予算、ITの予算も視野に入れて、部門横断で効率的な社内再投資を検討してきましょう。