情報共有だけの無駄な会議を大幅削減できる!

これを受けて溝口氏は、代表的な4つのシーンでのSlackの活用方法を披露した。

1 会議を待たずにチャットで進める
 企業でありがちな「情報共有だけのミーティング」。ある調査によると管理職は「年間630時間」をミーティングに費やしているという。その多くがただ「情報共有」のみの時間にあてられている。

 溝口氏は「Slack活用で、情報共有だけの無駄なミーティングを大幅に削減することができます」として、具体的なSlackの使い方を指南する。
Slackにおいてチームの仕事やコミュニケーションは「チャンネル」(メッセージ、ツール、ファイルをまとめてチームで共有する場所)を介して行われる。チャンネルはいわば企業の「会議室」。目的別・プロジェクト別・部門別・組織別のカテゴリーでその“会議室”は分けられ、インターネットにつながってさえいれば、どんな端末からでも、いつでもどこでもその会議室に参加できる。

 各チャンネルの中で、コミュニケーションのベースとなるのはチャットだ。

「通常の対面会議やビデオ会議のシーンを思い出してみてください。音声の会話は一度発すれば記録に残らず、一度に話せる方は1人だけ。記録に残すなら誰かが議事録を書くか録音しなければならず、会議不参加のメンバーへの情報共有には手間が伴います。

 それに対してSlackの各チャンネルのテキストコミュニケーションは、会議内容の履歴が恒久的に残ります。一度に複数人で会話することもできますし、発言が時系列で並ぶため、後からでも前後関係を把握しやすい。情報共有のためだけに人を招集する必要も、一切なくなります。

 TO/CCに入っていなければどんな内容が交わされているか分からないメールコミュニケーションと違い、Slackは招待されたメンバーが平等にその内容を閲覧できるため、情報の抜け漏れを防止。情報の流通速度も圧倒的に速くなるでしょう」と、これまでスタンダードだったコミュニケーション方法との違いを明らかにした。

2 情報・活動を可視化する
 業務において、「周囲のメンバーや隣の事業部がどんな仕事をしているのか全く知らない」ということは多いが、それ故に本来期待できるシナジーの機会を喪失しているとすれば残念だ。これについて溝口氏はこうアドバイスする。

「お互いが見えないと、相互に不信が生じてしまうものですが、Slackではお互いのやりとりを見える化し、部門間の連携・協働・協業がやりやすくなります」

 前項で紹介した「チャンネル」には幾つかの種類がある。その1つがパブリックチャンネル。メンバー“全員”が参加できるオープンなチャンネルだ。

「この効果は絶大です。当社では、営業チームがお客さまごとのパブリックチャンネルを開設し、全従業員が全てのお客さまの商談状況を知ることができます。それによって、担当外の営業スタッフが『他ではどのような営業活動をしているのか』を知ることができ、経営層もプロジェクトの進捗状況を自分の目で確かめられます」

 同社では「slack-ama」という経営陣に質問を問いかける用のパブリックチャンネルも公開している。amaとは「Ask me anything(何でも聞いて)」を意味する。従業員が会社に対していつでも質問できる環境をSlack上に整え、「会社の透明性を高めつつ、経営層と従業員の距離を縮めることに成功した」という。