業務見直しプロジェクトを
成功に導く手順を示す

 尾籠氏は、請求書発行の場合について、業務見直しプロジェクトの具体的プロセスも指南する。

●Step1:既存の業務フロー図を描く
 業務フロー図に関してはまず、担当者が行っている既存作業を洗い出し、請求書発行依頼・承認・請求書作成などの作業を1つずつ付箋に記入。次に各作業で使っているツール(紙・ハンコ・Excelなど)も洗い出し、同様に付箋に記入する。さらに各作業の担当部門も洗い出す。これをホワイトボード上にまとめれば、その会社における請求書発行の業務フローが完成する。

「その上で、負荷になっている作業と改善点を洗い出します。既に担当部門ごとに時系列で業務が整理されているため『ここは確認が煩雑になりがち』『承認が遅い』『手作業での転記が大変』『郵送作業でミスが多発』といった課題が見つけやすくなっているはずです」

●Step2:適したソリューションを検討する
 以上が終われば、ソリューションの検討に移行できる。

「属人化を防ぐための鉄則は『使うツールは極力少なく』『手作業で行う領域を減らす』の2つ。言い換えれば『1つのシステムでなんでもできたらいいね』『人が介在する定型業務はITで自動化したいね』ということです。それぞれにERPや、RPAなどによる自動取得・自動仕訳などのソリューションがあります」

●Step3:あるべき業務フローを策定する
 ソリューションの検討を終えたら、検討したソリューションを再び、業務フローに落とし込んでいく。

「先のステップで業務フロー作成・課題の明確化を終えていますから、課題に応じたソリューションの姿も見えてきているはず。本来あるべき業務フローを策定しながら、電子承認・Web請求書・会計ソフトなどのソリューションへ落とし込んでいきましょう」

●Step4:スケジュールとチェックリストの作成
 最終的にあるべき業務フローにのっとった形でスケジュールとチェックリストを作成する。

「その会社の月次締めスケジュールから逆算し、購買申請→証憑受領→支払依頼or経費精算→支払処理、原始証憑提出・保管・・・といった作業、およびそこに付帯する承認作業などをワークフロースケジュール上にまとめておくとより効果的です。作業ごとのチェック項目(注意事項)を設けて共有すれば、ミスも抑制できます」