業務標準化を実現する3つのアクションとは?
尾籠氏のセッションは「業務標準化の具体策」「業務見直しプロジェクトの具体的プロセス」の話題に移行する。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」によると、業務見直しを行うに当たって課題となる事柄の上位を占めたのは「業務に追われ、業務見直しの時間が取れない」(50.6%)、「取組を主導できる人材が社内にいない」(24.1%)、「取組の目的や目標が上手く設定できない」(17.5%)だった。
尾籠氏はこの各々の課題に、業務標準化の具体的アクションを示す。
① 理想の姿と現状を整理してみる(課題:取組の目的や目標が上手く設定できない)
理想を描くことで初めて、変えなければいけない現状と行うべき対策が具体化される。特にビジネスプロセスの整理においては「As-Is(現状)/To-Be(理想)」分析で現状の把握・可視化を行うのが有効だ。
② 取り組む体制をつくってみる(課題:取組を主導できる人材が社内にいない)
業務見直しをプロジェクト化する際には「オーナー」「リーダー」「メンバー」の3レイヤーごとに担うべき役割を整理する。「プロジェクトオーナー=責任の所在を明確化/業務見直しが滞った場合の方向性判断」、「プロジェクトリーダー=業務見直しの方向性と推進/メンバーとの調整」、「プロジェクトメンバー=課題のブレスト/業務見直し結果の実行」で役割分担されていると、プロジェクトはスムーズに進行し、成功しやすい。
③ 対応策でなく現状のフローを見返してみる(課題:業務に追われ、業務見直しの時間が取れない)
対応策を講じていくためには“今”を知らなければならない。そのためにも①で行ったAs-Is(現状)が重要で、とりわけ業務フロー図の策定がとても有効な方法だ。例えば、請求書発行をフロー化すると「承認作業が多い」「紙もツールも転記作業も多い」といった課題が明確になる。業務フロー化というと難しく考えがちだが、用意するのは付箋とホワイトボードのみでよい。