テレワークを変えたクラウド環境とは
当社では、いまお話しした施策以外でも、情シスメンバーが新入社員の受け入れをフルリモートで行なったり、経理部門で月次決算を在宅で行なったりといった取り組みも進めています。
こうした、テレワーク環境を裏側で支えているのがクラウドサービスです。当社では、業務ツールとして、ビジネス対話アプリの「Slack」、ビデオ会議サービスの「Zoom」、グループウェアツールの「G Suite」、情報共有サービスの「DocBase」などを利用しています。
そしてもちろん、人事労務では、自社の「SmartHR」を利用しています。つまり、全てクラウドでできる環境がもともと整っていたのです。SmartHRでは、人事労務関連の情報を集め、社会保険などが電子申請ができ、それがデータベースとして溜まることで従業員名簿として活用できます。
人事労務分野、特に社会保険や雇用保険の業務を非常に非効率にしているものがあります。「紙」です。例えば、入社手続き一つとっても、必要書類の作成から発送、記入・捺印、書類の受領、データ入力、役所への手続き、その後の紙の保管まで、煩雑なステップがあります。
しかし、これをSmartHRで行うと、従業員がスマートフォンやパソコンで入力するだけでよく、ステップを大幅に簡略化することが可能になります。人事のご担当者の方も、オフィスに出社する必要もなく、オンラインで完結できます。
実際の事例をご紹介しましょう。医療・介護領域における人材紹介・派遣サービス大手のTSグループは、SmartHRの機能の一つである雇用契約機能を使って、今年4月1日に入社した新入社員203名の入社手続きをオンラインで行いました。
同社では入社式と研修はオンラインで実施することを決めていました。しかし、人事部門では、雇用契約書の締結を、そして総務部門では入社書類の回収を、それぞれ別で、かつ郵送で対応しようとしていました。それらの費用、工数、リスクなどを勘案すると、郵送で行うのは現実的ではないということになりSmartHRの導入が決まりました。
煩雑な手続きが大幅に効率化したことはもちろんですが、当社へのお問い合わせから導入までを1週間で実現できたこと、社会人経験のない新卒者が研修もマニュアルもなく使えたのもSmartHRがユーザーファーストなサービスであることの裏付けになっていると思います。
入社手続き以外にも、多くの紙が出てくる業務に年末調整があります。従業員にとっては「寡婦」などの言葉が分かりづらいことや、書類のフォームが狭くて書きづらいといった煩わしさが毎年の恒例になっているかもしれません。
その点、SmartHRなら、パソコンやスマートフォンで「はい」「いいえ」などのアンケート形式の質問に回答するだけで年末調整に必要な書類が自動作成されます。用紙の配布や収集、さらにデータ化も必要ありません。
SmartHRを使って、年末調整の負担を大きく軽減した企業もあります。りらいあコミュニケーションズは、コールセンターの受託運営、バックオフィス業務の請負など法人向けサービスを提供しています。現在従業員数は約1万9000名で、北海道から沖縄まで全国に多くの拠点を持っています。
りらいあコミュニケーションズでは、SmartHR導入以前、人事労務の申請を全て紙で運用していました、年末調整では専任の社員6名が、残業しながら年末まで業務にあたっていたそうです。
また契約社員が多いため、3カ月に1回の契約更新のたびに、運用書類が1万枚にも達していた状態でした。そこでSmartHRを利用いただいた結果、年末調整では書類が約2万8000枚削減され、用紙代、印刷代、郵送費用などのコストを大幅に削減することができました。また、専任のスタッフの方の残業時間も前年比で約半分に減らすことができました。