コロナ禍でどうなった?絶滅危惧される対面営業

 では、コロナ禍において営業の現場はどう変化したのでしょうか。当社では6月に全国の約450人の営業職に対して、アンケートによる実態調査を行いました。調査結果をいくつか紹介します。

 生産性に関する質問では、テレワークにより49%の人が低下を実感。年齢が上がるほど生産性の低下を実感した傾向が顕著であり、長年培った営業の技術が通用しなくなっている可能性があります。そうした実態もあってか、コロナ沈静化後に対面による商談スタイルに戻りたいと考えている営業担当者は73%にものぼりました。

 そこで気になるのが、顧客企業側も対面を望んでいるのかどうかです。対面営業を望む人の割合は、50歳未満では営業担当者65%に対して顧客70%と、顧客が対面を望む割合が高くなっていますが、50歳以上では営業担当者69%に対して顧客58%と、顧客が対面を望む割合が低くなっています。キーマンになればなるほど対面にこだわらない傾向が強いと考えられます。

 コロナ禍で変わった顧客の価値観をまとめると「わざわざ対面で会うには大儀が必要」「商品選定や見積り・注文などはセルフ化でOK」といった傾向が強くなっており、新たな営業の仕組みやシステムの構築が急務となっています。

 また、人材の部分では「課題解決を支援してくれる“信頼できる人か?”を重視」する傾向が強くなっており、営業の真の役割が問われるようになっています。

 私はコロナ禍以降の営業の働き方を考える上で、最初の踏み出しが大きな分岐点になると考えています。多くの企業は3月以降に大幅に受注減少し、緊急事態宣言解除を受けて反動による業績回復が起こる可能性が高い状況にあります。

 営業にとって短期的な業績は非常に重要ですが、この目先の数字に満足して従来のやり方に先祖返りしてしまうのは避けなければなりません。世界の変化に気付いている企業は、短期的な業績回復に力を入れる一方で、デジタル化によるプロセスの高度化や顧客接点のあり方の見直しなど、New Normalを見据えた再設計を同時進行しています。