本コンテンツは、2020年6月26日に全編オンラインで開催されたJBpress主催「Workstyle Innovation Forum 2020 <夏>生産性を高め、イノベーションを創発する!“経営戦略”としてのワークスタイル変革」での講演内容を採録したものです。

株式会社レイヤーズ・コンサルティング
事業戦略事業部マネジング・ディレクター
佐藤 隆太 氏

コロナに適応するのではなく大胆に変革する視点が重要

 緊急事態宣言の解除から1カ月以上が過ぎ、コロナ禍における働き方改革について各社とも具体的なアクションに着手するフェーズに入っています。これを踏まえ今日は、総括的なお話はさておき、具体的な領域にフォーカスしたお話をします。

 講演のタイトルにも据えた「Beyondコロナ」は当社独自の表現です。一般的には新常態への適応を意味するWithコロナなどが使われていますが、当社では、適応にとどまらず大胆に変革する視点を持つべきだという意味を込め「Beyondコロナ」としています。

 お伝えする内容は3点。はじめに当社が先日、経営者の方々と行ったディスカッションの中から見えてきた変革のキーワードを紹介します。2点目、3点目としては、コロナ禍において特に働き方の見直しが迫られている営業&マーケティングについて、当社によるアンケート調査をもとに実態を紹介しつつ、働き方を再設計するためのポイントを掘り下げます。

経営者ディスカッションから見えてきたBeyondコロナにおける変革キーワード

 当社は日本発のコンサルティング会社として、複数の日本企業のトップマネジメントに経営諮問委員をお願いしており、彼らに年間数回お集まりいただいてディスカッションするのが定例となっています。

 6月下旬には「Beyondコロナにおける今後の経営の方向性」というテーマでオンラインミーティングを行いました。この中で話題となった働き方に関するキーワードを3つご紹介します。

 1つは「変革の前倒し」です。コロナ禍では、以前からあった変革の予兆が一気に顕在化しました。企業には変化を加速させる知恵が不足しており、大きな課題となっています。

 2つ目は「『レジリエンス』と『効率化』の両立」です。これまで“Just in time”が重視されてきましたが、コロナ禍では“Just in case”を念頭に置く必要が出てきました。企業はコスト上昇を前提とした組織やオペレーションの組み直しを迫られています。

 3つ目は「リモートワークは試金石」です。リモートワークの実施によって、非効率性など多くの課題が浮き彫りになりました。特に、営業・マーケティング領域では働き方の見直しを急ピッチで進めるべきという認識が強くなっています。

コロナ禍でどうなった?絶滅危惧される対面営業

 では、コロナ禍において営業の現場はどう変化したのでしょうか。当社では6月に全国の約450人の営業職に対して、アンケートによる実態調査を行いました。調査結果をいくつか紹介します。

 生産性に関する質問では、テレワークにより49%の人が低下を実感。年齢が上がるほど生産性の低下を実感した傾向が顕著であり、長年培った営業の技術が通用しなくなっている可能性があります。そうした実態もあってか、コロナ沈静化後に対面による商談スタイルに戻りたいと考えている営業担当者は73%にものぼりました。

 そこで気になるのが、顧客企業側も対面を望んでいるのかどうかです。対面営業を望む人の割合は、50歳未満では営業担当者65%に対して顧客70%と、顧客が対面を望む割合が高くなっていますが、50歳以上では営業担当者69%に対して顧客58%と、顧客が対面を望む割合が低くなっています。キーマンになればなるほど対面にこだわらない傾向が強いと考えられます。

 コロナ禍で変わった顧客の価値観をまとめると「わざわざ対面で会うには大儀が必要」「商品選定や見積り・注文などはセルフ化でOK」といった傾向が強くなっており、新たな営業の仕組みやシステムの構築が急務となっています。

 また、人材の部分では「課題解決を支援してくれる“信頼できる人か?”を重視」する傾向が強くなっており、営業の真の役割が問われるようになっています。

 私はコロナ禍以降の営業の働き方を考える上で、最初の踏み出しが大きな分岐点になると考えています。多くの企業は3月以降に大幅に受注減少し、緊急事態宣言解除を受けて反動による業績回復が起こる可能性が高い状況にあります。

 営業にとって短期的な業績は非常に重要ですが、この目先の数字に満足して従来のやり方に先祖返りしてしまうのは避けなければなりません。世界の変化に気付いている企業は、短期的な業績回復に力を入れる一方で、デジタル化によるプロセスの高度化や顧客接点のあり方の見直しなど、New Normalを見据えた再設計を同時進行しています。

New Normalを見据えた営業&マーケティングの働き方の再設計ポイント

 具体的に働き方を再設計するにはどうすれば良いのか、ポイントを3つにまとめました。考え方の前提としては、現状の体制を維持しながらセールステックを導入するのではなく、思想から抜本的に入れ替えることが重要になります。

 1つ目が脱“エース営業”モデルです。コロナ禍においては、優秀な営業マンが営業活動におけるすべてのプロセスを担当するスタイルの営業は機能不全に陥りました。事業を維持できたのは、デジタルを活用して顧客発掘や関係構築などの業務を分業するモデルです。

 このデジタル分業モデルにおいては、コロナ禍でオンライン商談化したことで、これまで顧客と接する機会が少なかったエンジニアや設計部門なども商談に参加しやすくなり、クロージング力が高まる事例も出てきています。

 分業は、人と人の間で分業を進めてもあまり生産性は上がりません。大事なのは、人とデジタルの分業です。「社員が介在する価値があるか?」「高度な判断が必要か?」といった点を精査し、リモート化やセルフ化、自動化などを進めていくべきです。

 脱“エース営業”モデルを進めるに当たっては、あるべき姿を抽象的に描くのではなく、業務プロセスや活用するアプリケーションなどを全体視点でデザインし、具体的な設計図を描くことが重要になります。

 2つ目は営業の少数精鋭化・コンサル化です。コロナ禍では営業のお客さま対応が明暗を分けました。より具体的な提案をしてくれるなど、本当に困った時に助けてくれる営業が真のパートナーである、ということを痛感した経営者が少なくないのは火を見るより明らかでしょう。

 まさに今は営業の役割がシフトする時代の潮目です。営業は、売り切って終わりの従来型営業から、ビジネスコンサルとしての役割を果たすカスタマーサクセス型に変化していかなければなりません。

 コンサルへのシフトには『行動モデル』『知識スキル』『評価』のトータルでのプロトコル転換が必要であり、この大きな転換に当たっては企業の教育体制の整備も重要になります。

 プロトコル転換が進めば、従来はチームリーダーやマネージャーを目指すほかなかった営業のキャリアモデルにアナリストやネゴシエーターといった選択肢が加わり、人材の多様化も進むと考えられます。

 3つ目はナレッジCoE(Center of Excellence)による知見の集積です。営業の役割がコンサル化すればするほど、ナレッジの集約が重要になります。

 ナレッジマネジメントは昔から重要視されてはいたものの「人に紐付いていて、共有化されにくい」などの理由でこれまでなかなか進みませんでした。それが最近ではAI技術の進歩により実現可能になっています。

 将来的にはオンライン商談の会話を分析して営業話法・トークをモデル化することもできるようになるなど、これまで考えられなかったようなナレッジの集積が大きなテーマになる可能性も出てきています。

 テクノロジーの導入は不可欠ですが、根本的な組織改革も行う必要があります。ここで重要になるのがCoEです。CoEとは、顧客の問題解決につながるノウハウや人材を集約する組織横断の専門家集団のこと。

 組織改革によりCoEをうまく活用すれば、本社側の情報と現場側の情報をCoEを起点として効率的に発信できるようになり、コンサルの提案品質・スピードの向上が実現します。

 レイヤーズ・コンサルティングではBeyondコロナにおける変革を支援しています。「戦略」「業務・デジタル」「組織・人材」の三位一体の改革をスピーディに実現します。

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