精工の印刷技術が可能にする新たな“食”への取り組み

これからの印刷業界を背負う社長たちの決心

JBpress/2020.4.1

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印刷技術によって畑と胃袋を最短距離でつなげたい

——現在御社の主流となっているビジネスを改めて教えてください。

林氏 デジタル印刷の技術を活用しながら、農産物や食品などの包装資材を中心に作っています。店頭で陳列がしやすい形状にすることはもちろんですが、農産物などの鮮度劣化の早い食材の鮮度を保持する技術を施すなど、包装するもの・目的などに応じた包装資材をご提供しています。

——なるほど。そういった食の業界で林社長が考えているビジョンはどんなものですか?

林氏 今はマイクロプラスチックの問題で、世の中からどんどんプラスチックが排除されようとしていますが、本当に目を向けるべきなのは、フードロスの問題だと思っています。

 世界的には飢餓の国がたくさんあるのに、フードロスは日本国内だけで643万トン(農林水産省及び環境省「平成28年度推計」)もあるわけです。

 これ以外にも、畑で捨てられる規格外の野菜や、流通の途中で傷んで捨てられる野菜もたくさんあって。この問題に対して、僕らが一生懸命やっている野菜の鮮度保持の技術が生かせるのではないかと思うんですね。

 とはいえ、鮮度保持の技術が必要なのは売り手の都合です。流通にかかる日数を縮めたり、野菜の消費者を増やして売り場の回転率を上げたりすることができれば、鮮度保持の技術さえいらなくなるんですよね。

 そこで考えたのが、デジタル印刷の技術を使って、野菜のパッケージにレシピを載せることで、一人でも多くの人に野菜を食べてもらう仕組みです。