本コンテンツは、2019年9月24日に開催されたJBpress主催「Workstyle Innovation Forum 2019」での講演内容を採録したものです。

Slack Japan 株式会社 ビジネスグロース・マネージャー 生垣侑依氏

アジャイルな組織に必要な4つの条件を実現

 2014年2月にサービスの提供を開始したSlackは、今や世界150カ国以上で1200万の日間アクティブユーザーを抱える大きなプラットフォームへと成長しました。注目していただきたいのは、日本におけるユーザー数が世界第2位にまで到達していることです。日本語版Slackの提供開始は2017年であったにもかかわらず、短期間でこれほど多くのご支持をいただいていることは、私たちSlack Japanにとって非常に喜ばしいことですが、その背景にあるのは日本企業における「働き方改革」の取り組みです。日本にはアジリティ(俊敏性)の向上を目指す組織がたくさんあり、課題解決の手段としてSlackを活用してくださっているものと受け止めています。

 それでは、アジャイル(俊敏)な組織を築き上げた企業にはどのような特性があるのでしょうか? マッキンゼーによる調査結果が非常に分かりやすいのでご紹介しますと、以下の4つにまとめられています。

①共通の目的と感性
②チームが権限を所有
③迅速な意思決定と反復のサイクル
④ビジネスを支援するテクノロジー

 以上、4つの条件が「アジリティ向上に成功した企業」で共通に見られる特性だというわけです。このうち①から③までは、いわゆる「アラインメント」の重要性を示しています。かつて大企業に多く見受けられた縦割り構造のサイロ化した組織では、部門間に共通の目的や価値基準がなく、バラバラの方向を見て活動していました。しかし、そのような組織の在り方ではなく、組織間およびメンバー間で目的と感性を共有し、意思決定権限を持って判断と実行のサイクルを高速化し、全体最適を達成することができれば、組織のアジリティは確実に向上するということです。

 そして、④のテクノロジーに活用に関してですが、現在、大企業では平均して1000を超えるクラウドサービスが導入されていると言われています。あらゆる部門・部署で、大・中・小のさまざまなアプリケーションを使い業務が行われています。社員がそれぞれの業務の専門性に応じて異なるツールを細かく使い分けているということです。マッキンゼーの調査によると、45%もの業務がこのようなアプリケーションにより自動化されているそうです。