中国に学ぶOMO‐UX戦略と日本型DXの在り方

アフターデジタル時代到来

JBpress/2019.10.30

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最も大事なのはデータではなくエクスペリエンス

 さて、いよいよ日本の話をしましょう。OMOを基盤としたサービスが中国で劇的に進歩しているのは中国ならではの社会事情も絡んでのことですが、それでも先ほどの2つの事例だけでも学び取れることがたくさんあったかと思います。OMO先進事例のお話をすると、かなり多くの方が「やっぱりデータは大事ですね」とおっしゃいます。

 私自身の体験ですが、以前、同じく中国のOMO先進事例「ビットオート」のデータ部門の責任者に、「あなたたちのビジネスで最も重要なのはデータですよね」と質問をした際、彼は毅然とこう答えたのです。「いいえ、本当に大事なのはデータではなくエクスペリエンスです」と。まさにアフターデジタルの本質を突く一言だといえるでしょう。

 ともすればわれわれは、売りたいものや提供したいサービスありきで、例えば、その一部をデジタルに置き替えることで、人員を削減できるといった、サービス起点でのDXを進めがちです。しかし、例えば、中国平安保険の場合はまず中国人民のペインポイントに着目し、「顧客が置かれている状況に寄り添う体験」とは何なのか、という視点から入り、自社のサービスがそこにどのように関連付けられるのかと、体験起点でサービスを設計したのです。そしてそれを形にしたのが「好医生(グッドドクター)」であり、顧客の状況に寄り添うことで、コモディティ化した保険商材の中から選ばれる存在となったのです。

 つまりビフォアデジタル時代とは逆の順番、エクスペリエンス発の発想で組み立てたことによる勝利だったのです。データはもちろん重要ですが、その価値を発揮できる仕組みを作ることが第一というわけです。

 現在の日本で行われているデジタルマーケティングを見てみると、レポーティングされた集計データの可視化は進んでいるものの、肝心のUX/コンテンツ企画力がボトルネックになって改善が回っていません。重要なのは、今申し上げた通りユーザーが置かれている状況や、その行動に着目してエクスペリエンスを模索すること、すなわちUX企画力です。

 そこでビービットは「UX企画力向上の鍵はユーザーの『状況』を捉える分析手法にあり」と考え、シーケンス分析クラウド「USERGRAM(ユーザグラム)」を開発し、このプラットフォームとコンサルティングの組み合わせによって、アフターデジタルにアジャストしたDX実現のサポートを開始しました。今後、日本でも間違いなくOMOというアプローチが注目されていくはずですが、そこでユーザーに真に価値あるエクスペリエンスを提供できなければ、どんな企業でも淘汰(とうた)されていくでしょう。中国や米国と異なる状況を持つ日本で、このアフターデジタルDXを成功させていくため、私たちもぜひ貢献していきたいと考えています。

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