どこでも働ける環境を整備し
時間と作業量を意識すること

 いくつか先行事例を紹介し、現場の社員が改革を実感できるポイントを解説します。まずケース1は、育児・介護支援です。このケースでの施策の1つにテレワーク制度があります。すでに導入している企業は数多くありますが、現場ではあまり活用されていません。どこでも働ける環境が無ければ、オフィスの方が人もOA機器などの環境も集約されていて便利だからです。オフィスで仕事をする人と育児・介護をしながら仕事をする人の生活リズムの違いもネックになっています。例えば、育児中の人が子供を託児所に預けにいく時間と、オフィスにいる人が朝のミーティングをする時間が重なっていたら、その制度は事実上使えません。

 つまり、オフィス以外でも不自由なく仕事ができるプレイスシフトや、時間を問わず共同作業ができるタイムシフトを実現する必要があります。富士通の取り組みを紹介すると、プレイスシフトに関しては、モバイルパソコンに内線電話や会議室の機能を搭載しています。私のようなノマドワーカーでも、このパソコン1台で何の問題もなく社外から業務が行えます。タイムシフトに関しては、コミュニティや情報共有の基盤として、「Microsoft Teams」を使っています。チャットやファイル共有などを通して、いつでもどこでも意思疎通や情報交換ができる必要があります。

 育児・介護支援における改革を実現するには、育児者や介護者だけが制度や環境を利用するのではなく、全従業員が、時間や場所に縛られない働き方を実現することが非常に重要になります。

 ケース2は、残業時間の短縮・フレックス制度です。ワーク・ライフ・バランスなどとよく言われますが、現実的には仕事が終わらず、会社を出てカフェで仕事をするような人も少なくありません。時間外の残業を抑止しつつ生産性を上げるには、時間と作業量を明確に意識する必要があります。富士通では、この課題に「FUJITSU Software TIME CREATOR」というソフトウェアを導入しています。このソフトをパソコンに導入し、残業時間が迫ると、上長に残業を申請するウィンドウが表示されます。どんな業務で何時間の残業をするのかを記入すると、上司がその内容を精査して残業の可否を判断する仕組みです。

 ケース3は、仕事進捗の見える化です。見える化は、無駄な業務をやめることや変えることを明確にするために行います。そのために、業務実態を把握することが重要になるのですが、日報や週報を書かせるといった一般的なやり方では手間が掛かってしまいます。富士通では、「Zinrai for 365 Dashboard」というAIを活用したソリューションを使い、従業員や組織の働き方を可視化しています。

 当社のあるSE部門では、この見える化に2カ月間取り組んだ結果、本来業務の割合を1日あたり43分も増やすことができました。一方で、休暇取得日数は1.5倍に増えています。具体例を挙げると、情報共有は会議ではなく社内SNS上で行うことにしました。また、水曜日と金曜日には予定を入れないルールをつくり、休暇を取りやすくしました。非常に単純なことですが、業務の定量的な見える化ができていないと、効果が予測できず、具体的な施策を打つのは難しいものです。

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