本コンテンツは、2019年9月24日に開催された「Workstyle Innovation Forum 2019」での講演内容を採録したものです。

富士通株式会社
シニアエバンジェリスト
松本 国一 氏

制度の導入は進みつつあるが
現場には改革の実感無し

 私は28年間にわたる富士通での勤務のなかで、14部門37部署を渡り歩いてきました。常に複数の仕事に関わっているため、ノマドワーカーとしての経験も16年にのぼります。幅広い業務経験を生かし、現在は、働き方をどのように変えるべきかを皆さんに伝える仕事をしています。

 働き方改革の核心は何なのでしょうか。あるいはなぜ今取り組まなければならないのでしょうか。明確に答えるのは意外と難しいかもしれません。今後、日本の働く現場からは、労働者が激減していきます。その要因は、労働人口の減少に限らず、介護離職の増加や時短勤務、副業などさまざまです。労働人口の減少が今後40年で約4割。介護問題が深刻化する中、現在のような介護と仕事が両立できない環境が続けば、さらに3割強の人が仕事を辞めてしまうと予測されています。その他さまざまな要因を組み合わせると、40年後の企業には、現在の2割程度のリソースしか残らないことになります。

 一方、2019年の4月には、働き方改革関連法が施行されました。その内容を見ると「長時間労働対策」「有給休暇の取得義務」「勤務間インターバル制度」など、時短の促進がメインです。つまり企業は、働き方改革を進めるに当たって法対応だけを進めていると、確実にリソースが不足することになります。

 現状、既に多数企業が働き方改革に取り組んでいます。大企業のうちの8割、中堅企業でも5割を超えています。取り組みの内容は、育児・介護支援、残業時間削減・フレックス勤務、仕事進捗の見える化といったものが大半で、ICTを活用した取り組みを進めている企業も1割程度あります。ただし、現場の社員に実態の調査を行うと、7割の人が「改革が進んでいる実感はあまりない」と答えます。つまり、制度の導入は進んでいるものの、根本的な改革にはつながっていないのが実情です。

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