ビジネスを加速させる7つの変革ドライバー

 

働き方改革は、自社のビジネスの戦略や方向性に基づいて、ワークスタイルや行動、組織・風土を革新させるものであるべきです。つまり最初に、自社がどういう働き方を目指すのかを明確にすることが最も重要になります。例えば、柔軟性・多様性を重視するのか。その逆に、安定性・統一性を重視するのか。あるいは人と組織の関係において、相互依存を重視するのか。独立・自律を重視するのか。働き方改革がうまくいっていない企業においては、そうした最初にあるべき議論が、経営と現場でしっかり行われていないケースが多く見られます。

 ワークスタイル変革を実現するには、7つの変革ドライバーがあります。(1)オフィス空間(2)デジタルテクノロジー(3)エンゲージメント(4)社内制度・規範(5)コンディション(健康・生産性)(6)業務プロセス(7)チーム・組織マネジメントという要素に対して統合的にアプローチすることが重要になります。

 ワークスタイルをデザインするためのアプローチは、4つのステップで行います。ステップ1でビジネスの戦略・方向性を決定します。ステップ2では課題や成長機会を抽出し、ステップ3で目指したいワークスタイル・行動を検討します。最後のステップ4では、7つのワークスタイル変革ドライバーの中から自社にとって効果的な変革ドライバーを見定め、具体的な施策を検討・プランニングします。

 この4つのステップに基づいた、ある業界の大手企業におけるワークスタイルデザインの事例を紹介します。当該企業においては、優秀な人材が集まっている一方、年功序列や手続き重視など、旧来の日本企業的体質や体育会系的な忖度気質が、個人とチーム全体の能力発揮の妨げになっている傾向がありました。

 今回は、ワークスタイルデザインのアプローチのうち、特にステップ2の課題抽出について詳しく紹介します。課題抽出の段階では、7つの変革ドライバーをより細かく因数分解した50問程度のアンケート診断などを行い、7つの要素に対応する課題やニーズを調査しています。この過程で見えてきた負の特徴をあげると「なんだか、みんな毎日疲れている」「自席で作業はしているが、集中しているように見えない」「以前から変わらず、紙を使った仕事が多い」「慢性的に会議室が足りない」「組織の縦割りが強く、他部門の人をあまり知らない」という5つが明確になりました。

 こうした現状を認識したうえで、目指したいワークスタイル・行動を描くプロセスを行い、「交流と変化が起こるオフィス」「業務スピードの倍増」という方向性を明確にします。