本コンテンツは、2019年9月24日に開催されたJBpress主催「Workstyle Innovation Forum 2019 生産性を高め、イノベーションを創発する!“経営戦略”としてのワークスタイル変革」での講演内容を採録したものです。
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
事業戦略事業部 マネジングディレクター
佐藤 隆太 氏
日本企業の働き方改革はまだ本質に到達していない
日本企業は、欧米の企業と比べて生産性が大きく劣後しています。2018年の1人当たりの年間平均労働時間と名目GDPから時間当たり名目GDPを算出し、米国、ドイツと比較してみると、その差は明らかです。日本が23.4$/時間であるのに対し、米国は35.1$/時間、ドイツは35.4$/時間。生産性の高さは、米国、ドイツとも日本の約1.5倍となっています。さらに、2年前から同じデータを比較してみると、日本の平均労働時間は減っているにもかかわらず、時間当たり名目GDPの差は広がっています。生産性の上昇率でも欧米に劣っていることになり、差が広がる一方であるというのが現実です。
そうしたなかでも私は、2018年あたりから日本の働き方改革の潮目が変わりつつあると感じています。多くの企業のトップマネジメントとお話するなかで「生産性2倍」「間接業務50%」など、大胆な目標を掲げる改革案を耳にする機会が増えているのです。改革の内容は、二極化が進んでいます。一方は、デジタルトランスフォーメーションによる生産性向上やビジネスモデル変革、それに伴うワークスタイル変革。もう一方は、無駄の削減や効率化、多様化する働き方に対する環境や制度の見直しといった、今の働き方を前提とした改善です。特に最近は、CEOやCDOがワークスタイル変革を戦略視点で主導する傾向が見られます。