NECが直面した課題をアプリで解決

 以前から展開してきたオウンドメディアの訪問者分析などを進めていくことで判明したのは、その大部分がアノニマス(匿名の訪問者)ではあるが、4人に1人の割合でマルチデバイスでアクセスされていることでした。また、あらためて、モバイルからのアクセスも増えており、確実に情報収集が多様化されていることも分かりました。こうしてデータの見える化から分かってきた材料の数々を考慮することで、新しい打ち手として着目したのがアプリの活用でした。

 特徴的なアクションを示しながら活発にアクセスをしているアノニマスに向けて、オウンドメディアの在り方を情報提供型へとリニューアルしました。また、この存在をモバイルを活用するアノニマスに対してより効果的に認知してもらうための打ち手として、アプリの開発に取り掛かったのです。

 ICTの技術力で成長してきたNECですから、当初はごく当然のようにアプリを自社開発していったわけですが、着手して分かってきたのがモバイルアプリ開発ならではの難しさでした。スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスへの対応に加え、iOSやAndroid上のアップデート対応や、バージョンアップのタイミングをこれらと合わせていく煩雑さに苦心することになったのです。

金子:当社がクラウド上にアプリ開発の基盤を構築し、これを多くの企業に活用していただこうと考えたのも、NECさん同様のお悩みを多くの方々が抱えていたからです。プログラミングやシステム開発において高度な技術力を有するNECさんのような企業であっても、アプリ独特の課題と向き合っていこうとすれば、多くの煩雑な対応が迫られます。本来、NECさんが目指すゴールはお客さまである企業とのタッチポイントとしてアプリを有効活用していくことにあるわけですから、持てるリソースの多くをその部分に充てていくためにも、ヤプリとの共創を選択していただいた。そして、今に至っているということですよね。