デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)実現に向け、多くの企業が切磋琢磨する中、真の変革実現を目指して奔走するリーダーたちが集い、DX実現に向けた課題やビジョンを共有するイベント「JBpress Digital Innovation Forum」が、7月19日に開催された。今回も、会場には定員を大幅に超える約300名のリーダーたちが集まり、登壇者が示す課題解決への営みや、新しいチャレンジに聞き入った。
約5時間のプログラムの終盤に登壇したのは、ヤプリの執行役員でありCCO(Chief Communication Officer)を務める金子洋平氏。そして、同社が提供するクラウド型モバイルアプリ開発プラットフォームの活用によって、従来とは一線を画すデジタルマーケティングを戦略的に推進している日本電気(以下、NEC)のIMC本部 本部長代理 東海林直子氏がステージに上がり、NECがアプリ活用に至るようになった経緯と、実行後の成果について語った。
「Yappli」の活用をNECが選択するまで
金子:ヤプリは、2013年に生まれたベンチャー企業です。おかげさまで、クラウド型のアプリ開発プラットフォームを提供するという独自のビジネスモデルを、多くのお客さまに認知していただけるようになりました。ヤプリが提供するプラットフォームの特長は大きく以下の3点です。
①プログラミング不要
②直感的UIの管理画面
③自動バージョンアップ
これらの特長をご支持いただき、これまでに約300社のお客さまがヤプリを通じてモバイルアプリをリリース。総計で約3500万ダウンロードを達成するまでに成長しました。
金子洋平氏 株式会社ヤプリ 執行役員CCO(Chief Communication Officer)/エバンジェリスト
しかし一方で、「モバイル戦略の成功のためにヤプリのプラットフォームがどのように成果を上げるのか」を、より明確に知りたいというご要望もまだまだ多いのが現状です。そこで本日はNECの東海林さんとご一緒させていただき、その取り組みがいかに成果へとつながっているのかをお伝えしたいと思います。
事業ドメインの大変革を実行したNEC
東海林:当社は「2015中期経営計画」策定を機に「社会価値創造型企業への変革」を打ち出し、次の100年に向けた事業ドメインの再定義を本格的に始動しました。「地球との共生」「安全・安心な都市・行政基盤」「安全・高効率なライフライン」「豊かな社会を支える情報通信」「産業とICTの新結合」「枠を超えた多様な働き方」「個々人が躍動する豊かで公平な社会」という7つの社会価値創造テーマを掲げ、その実現のための変革に着手。スマートシティを実現する「NEC Safer Cities」と、バリューチェーン領域に新たな価値創造へつながるイノベーションをもたらす「NEC Value Chain Innovation」を中軸とする企業へと生まれ変わりました。
東海林直子氏 日本電気株式会社(NEC) IMC本部 本部長代理
端的にいえば、かつてのNECを支えてきたBtoC事業やITベンダーとしてのシステム構築事業などに代わり、社会価値創造を目指す多くの企業と共創する分野にフォーカスしていくのが新しいNECの姿です。当然のことながらマーケティングの在り方も根底から再考し、最適なアプローチを見つけ出すことが急務となりました。
例えば以前であれば、BtoCの代表製品であるPCや携帯電話の存在自体がNECのバリューを伝える役割も担っていたわけですが、これからはそうはいきません。BtoB分野についても、ITベンダーとしての事業を展開している時には企業の情報システム部門が直接のお客さまでしたが、新しいNECではあらゆる領域の事業部門がお客さまになります。お客さまの意思決定プロセスもこれまでとは大きく異なり、多様なタッチポイントから情報を収集して事業・業務を展開されています。そこで、NECではこれらの変化に適応するための課題を抽出し、以下の3つのポイントに着目することにしました。
①顧客データベースの質の低下(玉石混淆ゆえの非ターゲット化)
②メールや旧来型オウンドメディアの限界
(PC離れとモバイルへのシフト、SNSや情報提供型サイトの充実)
③意思決定プロセスのブラックボックス化
NECが直面した課題をアプリで解決
以前から展開してきたオウンドメディアの訪問者分析などを進めていくことで判明したのは、その大部分がアノニマス(匿名の訪問者)ではあるが、4人に1人の割合でマルチデバイスでアクセスされていることでした。また、あらためて、モバイルからのアクセスも増えており、確実に情報収集が多様化されていることも分かりました。こうしてデータの見える化から分かってきた材料の数々を考慮することで、新しい打ち手として着目したのがアプリの活用でした。
特徴的なアクションを示しながら活発にアクセスをしているアノニマスに向けて、オウンドメディアの在り方を情報提供型へとリニューアルしました。また、この存在をモバイルを活用するアノニマスに対してより効果的に認知してもらうための打ち手として、アプリの開発に取り掛かったのです。
ICTの技術力で成長してきたNECですから、当初はごく当然のようにアプリを自社開発していったわけですが、着手して分かってきたのがモバイルアプリ開発ならではの難しさでした。スマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスへの対応に加え、iOSやAndroid上のアップデート対応や、バージョンアップのタイミングをこれらと合わせていく煩雑さに苦心することになったのです。
金子:当社がクラウド上にアプリ開発の基盤を構築し、これを多くの企業に活用していただこうと考えたのも、NECさん同様のお悩みを多くの方々が抱えていたからです。プログラミングやシステム開発において高度な技術力を有するNECさんのような企業であっても、アプリ独特の課題と向き合っていこうとすれば、多くの煩雑な対応が迫られます。本来、NECさんが目指すゴールはお客さまである企業とのタッチポイントとしてアプリを有効活用していくことにあるわけですから、持てるリソースの多くをその部分に充てていくためにも、ヤプリとの共創を選択していただいた。そして、今に至っているということですよね。
アプリ活用の成果と未来につながる可能性

東海林:事実、アプリならではの手間から解放された結果、今では専門的なエンジニアが不在でありながら、私たちオウンドメディア関連部門のメンバーだけで運用を実現できています。おかげで、アプリ導入による効果測定やデータ分析に多くのエネルギーを投じることも可能になっています。
具体的にアプリを活用した効果をお伝えすると、例えば、「意外にもプッシュ通知を見てくださるユーザーが多いこと」が判明し、「アプリをダウンロードしてくれたユーザーの内、4割が継続的なアクティブユーザーになってくれていること」も分かりました。さらには「営業部門などの当社社員が、お客さまへの情報提供する局面などに活用することができる点」など、いくつものポジティブな結果が出ています。
金子:自社開催のフォーラムなどのイベントでも、アプリを利用したさまざまな機能をアピールしながらダウンロードの機会を増やしているそうですね。
東海林:はい、もともと目指していたのはアプリの導入だけではなく、多様なタッチポイントを積極的に取りに行くことでしたが、その局面においてもアプリが有効に使えています。また、イベントや記者会見などをきっかけにしてダウンロードしてくださったユーザーが、イベント後もこのアプリをアクティブに利用し続けてくれるという成果も上がっています。
金子:本当のところ、そうした広がりを増やしていくことも、当初から戦略的に仕掛けていたのだと聞いています。今後は、活用の範囲をどう広げ、どのようなデジタルマーケティングを進めていくのでしょうか?
東海林:すでに社内では、部門ごとに活用している他のプラットフォーム、例えばSalesforceであったりEloqua、Adobeとアプリとの連携を進めています。そうして有機的につながったユニバーサルなハブを確立して、データ活用のサイクルを回していくことで、新しいNECにふさわしいデジタルマーケティングと、これに基づいた事業活動を加速していきたいと考えています。
金子:単にアプリ開発を効率化できるだけでなく、それがビジネスの成功につながるのだということを、われわれヤプリとしても、より一層発信していきたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
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