おしゃれの先生は77歳(前編)
1944年東京都生まれ。1960年代から様々なメンズブランドの企画を手がけ、1990年に自身の会社「インコントロ」を設立。現在はオーダースーツのブランド〝アカミネロイヤルライン〟を運営するほか、様々なアパレル企業のコンサルティングを手がけている。通称「マエストロ赤峰」。撮影はすべて山下英介
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7年ほど前に、都心にあった「インコントロ」のオフィスを、緑豊かな郊外の田園地帯に移転。「めだか荘」と名付けた一軒家で日々服飾文化の研究に勤しんでいる赤峰さんのもとには、ファッション業界の大物から洋服に興味を持ち始めた高校生まで、毎日様々な客が訪れる
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右から森本彪雅(ひょうが)さん、赤峰さん、高橋義明さん、高原健太郎さん。森本さんと高橋さんは、〝アカミネロイヤルライン〟の顧客であり、高原さんに至っては「インコントロ」の社員なのだが、その関係性は「弟子」というのが最も似つかわしい。トランクショーや生地の開発等で日本中を駆け巡る赤峰さんには、全国にこういった「お弟子さん」が存在する
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クラシック界ファッション界の巨匠である赤峰さんに弟子入りする傍ら、「mcnai(マカナイ)」という食をテーマにしたインディペンデントマガジンを製作するなど、ストリートカルチャーの世界でも活躍する高原さん。仲間内でも赤峰さんのスタイルは「色使いが格好いい」と評判だという。偏りのない彼らの視点から、今後どんなカルチャーが生まれてくるのか? とても楽しみだ
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空気を含ませながらゆっくりと織った昔ながらの生地は、風合いも豊かでそう簡単にへこたれない。赤峰さんが教えてくれる紳士服における真理は、食についてもあてはまる。高原さんは最近、体によい食材を選び、自炊することが増えたという
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24歳にして一児の父である森本さん。まだ若い彼にとって「アカミネロイヤルライン」のスーツは決して安いものではないが、昔ながらの製法でつくられたそれは、長年にわたって着ることができる。森本さんはスーツを通して、日本の社会のあり方に目を向けている
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田園の風景、可愛らしいめだか、季節の果実をついばみに集まるシジュウカラやスズメ……。「めだか荘」で過ごす時間は、日本の四季と、その中で営む昔ながらの暮らしを再認識させてくれる。森本さんのような都会暮らしの若者にとっては、懐かしくも新鮮な体験だろう
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紳士服に関して、豊富な経験と知識をもちながらも、本当に手本にするべき存在が今まで見つからなかったという高橋さん。彼が求めていた装いとは、うわべだけのラグジュアリーではなく、生活に根ざした根源的なものだった
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赤峰さんが教える装いとは「これとこれを組み合わせればお洒落!」とかいうマニュアル的・即物的なものではなく、日本の四季や風土に合わせた、根源的な文化。当然それは食・住の文化とも切り離せない。お弟子さんたちはファッションではなく、生きるうえでの選び方、考え方を学んでいるのだ
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その佇まいは、あたかも昭和の文人を彷彿させる。実は赤峰さんは、20世紀を代表する評論家であり社会学者・清水幾太郎の甥。その哲学は〝ファッション〟の領域には収まらない
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袖口が擦り切れたシャツも、色褪せた革靴も、自身の顔の一部と捉え決して取り繕わず、その風合いをあるがままに楽しむ赤峰さん。「新しいもの」こそ善と説くファッション業界人との大きな違いは、ここにある
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