1930年(昭和5年)に開業した連鎖商店街は当時としては最もモダンなショッピング・センターであった。3階建ての瀟洒な建物が16棟、連結されるように商店街を構成している。1階が商店や店舗で、2階と3階が住居として使われた。劇場や喫茶店、レストラン、公衆浴場など200店舗が連なっていた。円生と志ん生が興行した映画館と劇場を兼ねた常盤座もこのなかにある。私はその建物の内部を見学させてもらったことがあるが、「昭和」を想起させる美しいタイルが細かく貼られた大きな柱が残っていた。連鎖街の多くは現在、奇跡的にほとんどの建物が残存しており実際に商店として使われているが、老朽化が進んでいるため近い将来に取り壊されるという噂である。
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