左がBMW X3 20 xDrive M Sport Package、右がBMW X3 20 xDrive、中央奥がBMW X3 M50 xDrive。X3 20は直列4気筒、X3 M50は直列6気筒エンジンモデル。いずれもトランスミッション内に電気モーターを持つマイルドハイブリッド仕様

試乗は4気筒ガソリンターボの20と6気筒のM50

 エンジンバリエーションは、1995ccの直列4気筒ディーゼルターボが1種類、1998ccの直列4気筒ガソリンターボが1種類、そのエンジンをベースにしたプラグインハイブリッドが1種類、それに2998ccの直列6気筒ガソリンターボを加えた4種類となっています(一部地域限定の仕様もあり)。4/6気筒のガソリンとディーゼルはいずれもモーターと組み合わされたマイルドハイブリッドで、X3は全車がxDrive仕様の4輪駆動のみです。今回試乗ができたのはこのうちの4気筒ガソリンターボのX3 20 xDriveと6気筒ガソリンのX3 M50 xDriveの2タイプでした。

マイルドハイブリッドでも駆動用バッテリーはラゲッジスペースを侵食することなく配置されている。荷室容量は2列目シートを倒さない状態でも570L確保され、最大1700Lまで拡大できる

 ベストセラーモデルというのは最大公約数のお客様を取りに行く必要があり、局所的に特化した性能よりも、全方位で高い性能が求められることになります。その点、X3はまさしくそうなっているクルマでした。20 xDriveのシステムパワースペック(エンジン+モーター)は最高出力208ps、最大トルク330Nmですが、モーターとターボのそれぞれの特性をうまく引き出し、体感的には数値以上にパワフルで、発進時や追い越し時などでモタつくことはまったくありません。アクセルペダルに対するレスポンスも良好で、普通のドライバーでも存分に使いこなせるエンジンパワーでした。

重心の高いSUVはボディが大きく動く傾向があって、ハンドリングには不利なパッケージと言われるが、そこはBMWらしくX3でもドライバーの意志通りに向きを変える操縦性を備えている

 それと比べるとM50 xDriveのパワーは398ps/580Nmもあって、特に日本のような交通環境では明らかに持て余す動力性能で、個人的にはここまでは必要ないと感じた次第です。

パワフルなエンジンに加え、電子制御式ディファレンシャルやアンチロールバーなどにより、加速も旋回速度も圧倒的に早いM50。スポーツカー並みの動力性能と操縦性だが日本では持て余してしまうだろう

 従来型と比べて顕著によくなっていたのは乗り心地と静粛性でした。乗り心地は速度や路面状況によって大きく変わることなく良好で、静粛性はエンジン由来のノイズの遮断が見事でした。このクラスのお客様が何より快適性を重視しているという声をしっかり汲み取った成果と言えるでしょう。BMWのベストセラーの最新型に、隙はほとんど見当りませんでした。