アート作品収集は蹴鞠のようなもの

「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展示風景。塩田千春《ZUSTAND DES SEINS (存在の状態)ーウェディングドレス》 2008年

 東京都現代美術館で開幕した「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展。3500点以上を数える高橋コレクションから近現代の作家115組の作品を紹介し、日本現代美術の系譜をひも解いていく。

 鑑賞後の感想は、「ただただ圧倒的された」の一言。日本を代表する現代アーティストが、思いつく限りほぼ網羅されているし、それも各作家の個性が発揮された重要作ばかり。東京都現代美術館は本展を「現代美術史の入門編でもあり決定版でもある」と紹介しているが、まさにその通りだ。「入門者こそ名品に親しむべき」という学びの鉄則を、最高のレベルで実践することができる。

 しかも、趣味がいい。個人コレクション展では“成金趣味”的なものを感じることもあるが、本展に関しては一切それがない。高橋は自身のコレクションを「蹴鞠」のようなものだと言う。蹴鞠は 勝敗を競うものではなく、どれだけ蹴りやすい鞠を相手に渡していくかという思いやりの心を大切にする。「私は蹴鞠を蹴り続けるひとり。価値のあるコレクションを未来へとつないでいく役割を担っているだけなんです」と話す。

「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」展示風景。上から、加藤泉《無題》2004年、加藤泉《無題》2006年

 最後に本展の出品作家を紹介しておきたい。

里見勝蔵、草間彌生、篠原有司男、羽永光利、宇野亞喜良、中村錦平、司 修、横尾忠則、赤瀬川原平、森山大道、荒木経惟、合田佐和子、立石大河亞、山口はるみ、菅 木志雄、空山 基、西村陽平、東恩納裕一、舟越 桂、森村泰昌、大竹伸朗、岡﨑乾二郎、O JUN、小林正人、前本彰子、根本 敬、奈良美智、柳 幸典、鴻池朋子、太郎千恵藏、村上 隆、村瀬恭子、∈Y∋、会田 誠、大岩オスカール、小沢 剛、ヤノベケンジ、天明屋 尚、千葉和成、西尾康之、やなぎみわ、小出ナオキ、加藤 泉、川島秀明、Mr.、山口 晃、岡田裕子、町田久美、石田尚志、小谷元彦、風間サチコ、塩田千春、蜷川実花、池田 学、三瀬夏之介、宮永愛子、華雪、加藤美佳、竹村 京、束芋、名和晃平、玉本奈々、国松希根太、竹川宣彰、できやよい、今井俊介、金氏徹平、工藤麻紀子、鈴木ヒラク、今津 景、小西紀行、小橋陽介、志賀理江子、千葉正也、毛利悠子、青木美歌、桑田卓郎、梅津庸一、大山エンリコイサム、坂本夏子、BABU、村山悟郎、森 靖、松井えり菜、松下 徹、やんツー、青木 豊、梅沢和木、佐藤 允、谷保玲奈、DIEGO、弓指寛治、近藤亜樹、庄司朝美、水戸部七絵、ナイル・ケティング、川内理香子、涌井智仁、ob、藤倉麻子、村上 早、BIEN、石毛健太、名もなき実昌、土取郁香、山田康平、友沢こたお、山中雪乃、Chim↑Pom from Smappa!Group、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、KOMAKUS、中原 實*、久保 守*、八谷和彦*(*は東京都現代美術館蔵)