車窓いっぱいに広がる圧巻の日本海

 さてそれでは「リゾートしらかみ」の旅のポイントを紹介しよう。秋田駅を出発して1時間ほどで、列車は能代駅に到着する。能代といえばバスケの街としても有名だが、なんとホームにバスケットのゴールがあり、乗客がボールをシュートできる全国唯一の体験がおこなわれているのだ。シュート体験は1・3号のみなので要注意。ちなみに東京駅を始発の「こまち」に乗れば、秋田駅で「リゾートしらかみ3号」に十分間にあう。

第二小入川橋梁を渡る「青池」編成。ここから日本海の大海原が車窓に広がる

 その後、あきた白神駅を過ぎた第二小入川橋梁から車窓いっぱいに日本海が広がっていき、岩館~大間越間の奇岩が織りなす大パノラマや、十二湖の先に広がるガンガラ岩を眺め、荒々しい波がつくりだした岩々が続く深浦海岸で海の景勝はピークを迎える。空に浮かぶ雲の白さとコバルトブルーの澄んだ海、怪石群の茶色とのコントラストは眩いばかり。

ガンガラ岩付近を進む「橅」編成。ちなみにこの仙北岩トンネルは長さ9.5mで、JR東日本で一番短いトンネルだ

 列車が津軽平野にさしかかる頃、先頭車の展望席では人形芝居や語り部、三味線の生演奏など津軽の伝統的なイベントがおこなわれ、気がつくと窓の外には「お岩木さん」と呼ばれる津軽の人々のシンボル岩木山の勇姿が旅のフィナーレを告げてくれる。

 乗車券にわずか840円を加えることでこのようなさまざまな楽しみが味わえ、五能線の大自然を謳歌できる「リゾートしらかみ」。上記のように秋田発の下り列車に乗車するのが一般的だが、その分指定席券も取りづらい。青森発の上り列車であれば比較的空いていて、しかもこの時期6号の車内からは日本海に沈む夕日が望め、海と空の色が刻一刻と変化するトワイライトタイムも印象的。どの列車に乗るか非常に悩ましいのが「リゾートしらかみ」の唯一の難点である。