立后を強行

 兼家は定子の入内から4ヶ月後の正暦元年5月に関白となったが、病のため出家し、7月2日に62歳で没した。

 兼家のあとを継いだ藤原道隆は、権力基盤を固めるため、兼家の喪中にもかかわらず、娘の定子の立后を急いだ。

 当時、「中宮」とは皇后の別称であり、円融の中宮である中村静香が演じる藤原遵子(橋爪淳が演じる藤原頼忠の娘)がいたが、道隆は遵子を皇后とし、定子を中宮とするという、前代未聞の手段を強行した。

 ここに、皇后と中宮は分離した。

 これは、後述する道長が実現させた「一帝二后」に、繫がることになる。

 

一条天皇の寵愛

 強引な立后であったが、一条天皇は、定子を厚く寵愛した。

 二人の睦まじい様子は、定子に仕えたファーストサマーウイカが演じる清少納言(ドラマでは「ききょう」)の『枕草子』に詳しい。

 清少納言のみならず、定子には才女が女房として仕え、文化的なサロンを開いた。

 また、道隆の嫡男・藤原伊周(定子の兄)が内大臣に任じられるなど、後世「中関白家」と呼ばれる道隆の家筋は栄華を極めた。

 しかし、長徳元年(995)4月10日に、道隆が持病により死去すると、中関白家は急激に衰えていく。