新型LBX "Bespoke Build":メインカラー(ソリスホワイト)

いよいよレクサスも!? 真相を確かめにレクサス店舗へ

 そこに、レクサスがLBXで新たに始めると聞いたものですから、「いよいよか」と僕の期待も高まったのでした。しかし、2024年1月に行われたLBXのメディア試乗会でも、「ビスポークビルド」と名付けられたオーダーメイドシステムがあまり強く訴求されませんでした。改めて、ホームページを見ると、「LBX “Bespoke Build”受注停止に関するお詫び」と出ているではありませんか!

 受注停止!?

 これは穏やかではありませんねぇ。続いて、次のように記されています。

「LBX “Bespoke Build”の抽選申し込み受付は終了いたしました。ご注文の受付再開につきましては、今後の生産状況等を踏まえ、改めてご案内申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします」

 抽選だったとは知りませんでした。いったい、LBXに何が起きたのでしょうか?

 ホームページにはそれ以上のことは書いていないので、近くのディーラー「レクサス新宿」に行ってみました。

 美味しいコーヒーをいただきながらセールスコンサルタントの男性から詳しく話を聞くことができました。

 当初、LBX“Bespoke Build”は100台限定で募集したところ、応募が殺到したために抽選としたこと。その100台分を納車した後に、次の募集を行うか未定。

 専用カタログの最終ページのプライスリストを見せながら説明してくれたところによると、LBXには前輪駆動版と4輪駆動版のそれぞれに「Cool」と「Relax」というグレードがあり、それらに「Bespoke Build」が並んでいました。

 メーカー希望小売価格も記載されていて、CoolもRelaxも前輪駆動版が460万円、4輪駆動版は486万円。Bispoke Buildは、それぞれ550万円と576万円。

金子氏が説明を受けたカタログ。電子版も公開されている。https://lexus.jp/models/lbx/pdf/lbx_catalog.pdf

 縦軸方向に、ボディカラーやエクステリア、パフォーマンス、セーフティ、機能装備、インテリア、その他と並んでいて、Bespoke Buildにはすべて装備されることになっている。ボディカラーやエクステリア、パフォーマンスと称されたタイヤサイズとホイールデザインの組み合わせの3項目では、Bespoke Buildでは選択可能なのに対して、CoolやRelaxでは選べなかったり、有料だったりする。

 セーフティ、機能装備、インテリア、その他も同じ。Bespoke Buildには全部付いている。他の2グレードでは、すべて有料になる。唯一の例外は、L-ANILINE本革シート。Bespoke Buildでも55万円もします。他の2グレードでは選ぶこともできません。

新型LBX "Bespoke Build" L-ANILINE本革アクセントカラー(ソリスホワイト) 

 このプライスリストを見せてもらってわかったのは、結局、Bespoke Buildは顧客の判断によって色や素材、サイズや機能、装備などを取捨選択できるシステムではなかったのでした。

 ボディカラーやエクステリア、パフォーマンスと称されたタイヤサイズとホイールデザインの組み合わせの3項目では色や加飾、サイズなどを選べるものの、不要なものを省くことができません。反対に、他の2つのグレードで有料でも選べないものもあります。

広報写真によく登場するこのホイールは「18インチアルミホイール(ダークグレーメタリック塗装+切削光輝)」といいBespoke Buildで選択可能、Coolグレードでは標準装備

 結局、「Bespoke Build」は、“ぜんぶ載せの最上位グレード”に過ぎないものでした。自分が考えている“ビスポーク”や“オーダーメイド”とは大きな隔たりがあります。ポルシェやランドローバーなどのようには、顧客が自由に取捨選択できないのです。これには大いに落胆しました。

 セールスコンサルタント氏は、「次の募集が決まったら、ご連絡しましょうか?」と勧めてくれましたが、言葉を濁してショールームを後にしました。

Bespoke Buildの抽選制は正しい選択なのか?

 僕の期待が大き過ぎたのかもしれません。それにしても、レクサスはなぜ抽選制にしたのでしょうか?

 Bespoke Buildを申し込んだ人が多くても、その数は想像の範囲内でしょう。生産計画より多少は多かったとしても、それはうれしい誤算に過ぎません。待って貰えば良いだけです。その人たちに向けた情報発信を行うなり、限定イベントを行うなりして、ファンの熱意を高めることだってできます。

 待ってでも買いたいと言ってくれるのは優良顧客なわけですから、待ってもらう間こそがブランドロイヤリティを高めるチャンスなのではないでしょうか。

 オーダーメイドで新車を買おうという人は自分の人生の近未来を肯定しているわけですから、抽選販売などで切り捨ててしまわないで全員に売るべきでしょう。

 製造や販売の舞台裏は知り得ませんが、メーカーや販売店のコントロールを強め過ぎず、納期の長短などに幅を持たせても良いのかもしれませんね。トヨタが金科玉条としてきた「かんばん方式」(ジャストインタイム方法)とは相性が良くないのかもしれませんが、顧客が自由に仕様を決めて注文できるオーダーメイドシステムが今後、レクサスの他の車種にも展開されるようになることを期待しています。