グローバルな視点で印象派を楽しむ
東京都美術館で開幕した展覧会「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」。アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館のコレクションが中心で、同館が1898年の開館当初から力を注いで収蔵してきた印象派の作品を鑑賞することができる。
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ウスター美術館外観
Photo courtesy of the Worcester Art Museum
Photo courtesy of the Worcester Art Museum
アメリカの美術館による印象派コレクションだけに、そのレンジは幅広い。モネ、ルノワールといったフランスの印象派、ドイツや北欧の作家、国際的に活躍したジョン・シンガー・サージェント、そしてアメリカ印象派の作品群。印象派がフランスに留まらず、世界各地へと広がっていく過程を追体験できる“ドキュメント”ともいえる展覧会だ。
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クロード・モネ《睡蓮》1908年 油彩、カンヴァス ウスター美術館
Museum Purchase, 1910.26/Image courtesy of the Worcester Art Museum
Museum Purchase, 1910.26/Image courtesy of the Worcester Art Museum
さて、印象に残った作品をいくつか。まず、クロード・モネ《睡蓮》。モネが手がけた一連の《睡蓮》は印象派を代表する作品としてあまりにも有名で、何度も見たことがあるという人も多いだろう。本展ではウスター美術館が《睡蓮》購入に際してデュラン=リュエル画廊とやりとりした手紙や電報(複製)が公開されていて、それが興味深い。「美術館の理事会は作品1点の購入を承諾したが、2点とも購入できるよう説得する」「決断の期限と支払いの延期について了承した」。そんな生々しいやりとりから、《睡蓮》をコレクションに加えたいという美術館の強い思いが感じられる。
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アンデシュ・レオナード・ソーン《オパール》1891年 油彩、カンヴァス ウスター美術館
Gift of Marianne and John Jeppson, 1986.59/Image courtesy of the Worcester Art Museum
Gift of Marianne and John Jeppson, 1986.59/Image courtesy of the Worcester Art Museum
北欧の画家では、スウェーデン出身のアンデシュ・レオナード・ソーン。彼は肖像画家として知られるが、パリに滞在し印象派の技法を習得した。本展の出品作《オパール》では絵具を混ぜずにカンヴァス上に並べていく「筆触分割」という印象派特有の技法を用いて、湖に反射する光や木漏れ日を柔らかく表している。