歴代「やくも」の塗装が4種類すべて揃う

 381系「やくも」はクリーム色に赤いラインという国鉄時代の特急のカラーリング、いわゆる「国鉄色」でしばらく運行されていた。その後車両のリニューアルなどによって2種類の塗装に分けられたものの、2011年から去年まではすべての車両が白地に朱色の帯が入った「ゆったりやくも」と呼ばれるカラーで統一されていた。

「ゆったりやくも」色の「やくも」が伯備線を駆け抜ける

 ところが2022年3月に、「やくも」が伯備線で運転を始めて50周年を迎えることを記念して(「やくも」は1972年から1982年7月までは気動車で運転)、381系の本来のカラーリングである「国鉄色」に塗り替えられた車両が登場したのである。国鉄時代の車両が国鉄時代の塗装で走るとあって鉄道ファンは大賑わい。懐かしさを偲ぶ人やデビュー時の色を初めて見る人など、多くの人々がリバイバルされた「やくも」に魅了されている。

 リバイバル企画はその後も続き、1994年から2006年まで運転されていた「スーパーやくも」色も今年3月から登場。そして11月5日からは1997年から2011年まで運転されていた緑色を基調とした「緑やくも」色も復活する。これで歴代の「やくも」の塗装が4種類すべて揃うことになり、ますます沿線が熱く盛り上がることは間違いないだろう。

こちらは「スーパーやくも」色。緑のなかでピンクの塗装がよく映える

 JR化後は各社さまざまな新型車両が登場し、多くの国鉄型車両は次々に淘汰されてしまった。しかし今回のリバイバル「やくも」の人気の高さからも、国鉄型の車両がいかに多くの人に親しまれ愛され続けているかが伺える。

現役当時の「緑やくも」色。今年の11月からはこのカラーリングも復活する

 ちなみに岡山駅周辺の路線はキハ40形気動車や115系電車も国鉄色で走っており、いわば国鉄型の宝庫。その光景はまるで国鉄時代にタイムスリップしたかのよう。

 また「やくも」の写真を撮りたいのなら、駅や直線ではなく、ぜひとも線路が大きくカーブしている場所で狙ってもらいたい。なぜなら曲線で車体が傾いているシーンこそ、381系という車両の最大の特徴であり魅力なのだから。