黙っていてもいつもの酒が出てくる店でありたい

『刺身盛り合わせ』990円~。市場から届く魚も上質。本日は本まぐろと、鯛、いか、鰤とろ、鯵、いか

「料理がおいしいのは当たり前。それにプラスいい雰囲気が大切なんです。空間も美味しくないとけません」と博文さんはきっぱりいう。

 何度も来てくれる人の顔は極力覚えるそうで、だんだんと仲良くなって、好きなものをインプットするのも仕事のうち。席に着けば黙ってスッといつものお酒が出てくる、そんな店でありたいという。

 市場から仕入れる魚は、ピカピカの刺身や握り鮨になる。初夏のおすすめは『芽ねぎにぎり』で、これはお客さんから鮨屋で食べて美味しかったと言われ、それならと研究して作ったという逸品。いつも同じようでいて、実はお客さんとの交流から店は作られ、育っていくのだ。

 『芽ねぎにぎり』500円(3個)。爽やかな葱の香りが口中を吹き抜ける、初夏を告げる握りだ

 開店と同時に一人、二人とお客が増え、やがて店は活気を帯びていく。暖簾を上げて常連らしき人がのぞくと、いらっしゃいませよりも先に、「久しぶり〜」と客席から挨拶が飛んでくる。

 毎日食べても飽きない、それでいて美味しさもピカイチ、なのにとってもお値打ち。京都の友人が“愛しのわかば”と呼ぶ気持ちがよくわかる。

住所:京都府京都市伏見区観音寺町桃山御陵前駅のガード下
TEL:075-621-3719
営業時間:17:00~翌0:00 (料理L.O. 23:00)
休:日曜、祝日