「山の神」候補が創価大に編入
2022年の箱根駅伝でルーキーながら5区を区間2位と好走した吉田響が東海大を2年で退学。春から創価大の3年に編入した。
吉田は自身のSNSで「箱根駅伝への思いを捨てきれずいたとき幸い縁があり、創価大学で競技を続けることができるようになりました。諦めかけてた山の神という目標にまた、チャレンジできること、本当に嬉しく思います。ご批判もあるかと思いますが、私自身、覚悟を持って今回の決断をしました」などと記して、新天地でリスタートを切っている。
主力選手の〝転校〟は前代未聞ともいえる出来事だが、個人的には吉田が再び、箱根駅伝5区を走るシーンを見てみたいと思っている。
吉田は1年時に4月の四大対抗10000mに出場した後は一度もレースに出ず、正月決戦に合わせてきた。そして全国的には無名のルーキーが箱根山中で7人抜きを披露。当時の区間記録に19秒差まで迫ったが、本人は納得していなかった。
「前とかなりタイム差があったので、詰めなきゃいけないと思って、自分が想定してたペースよりも速く入ってしまったんです。7㎞ぐらいできつくなってしまい、区間新記録を目指して頑張ってきたのに届かなかった。最終的にはシード権も獲得できなかったので、2つの意味で悔しかったですね」
「すぐに故障してしまう」という吉田は昨季もマイペースで練習を続けながら、2つの予選会でチームに大きく貢献。抜群の存在感を発揮したが、箱根駅伝はエントリー16人に登録されることはなかった。
それでも昨年11月末に取材したときには、「今回こそ区間記録(当時は1時間10分25秒)を更新したいと思っています。前回は10㎞~15.8kmのきつい箇所が区間上位選手と比較して良くなかった。そこを落とさずに走ることができれば、かなりタイムを縮めることができると計算しています」と話していた。
「1時間9分切り」への意欲も見せていただけに、創価大のユニフォームで「山の神」と呼ばれる存在になるかもしれない。
監督やコーチの交代もあり、学生長距離界の勢力図は変わりつつある。
次なる戦いは5月4日のゴールデンゲームズ㏌のべおかだ。5000mには鈴木芽吹(駒大4)、篠原倖太朗(駒大3)、吉居大和(中大4)、中野翔太(中大4)、リチャード・エティーリ(東京国際大1)、吉居駿恭(中大2)、溜池一太(中大2)、山口智規(早大2)、伊藤大志(早大3)、石塚陽士(早大3)らがエントリーしている。
それから5月11~14日に開催される関東インカレは駅伝シーズンを占う意味でも重要だ。学生ランナーたちの戦いがさらに熱くなっていく。