パブリックアートに力を注ぐ
精力的な制作活動を続けていた岡本太郎は、1951年に東京国立博物館で縄文土器に出会う。その造形に日本人の根源的な生命観の表れを見出し、やがて太郎は日本各地の霊山や民俗行事を訪ね歩くようになる。それに合わせて、作品も呪術性を強めていく。
以前はキャラクター性を思わせるようなモチーフが登場していたが、徐々にうねるような黒い線が画面を覆うようになる。第3章「人間の根源―呪力の魅惑」では、抽象性を強めていく作品と日本各地で自身が撮影した122枚の写真をスライドショーで展示する。
「職業は?」との質問に、「人間」と答えた岡本太郎。芸術家という職業の枠に収められることを嫌った太郎は、パブリックアートの制作にも力を注いだ。第4章「大衆の中の芸術」では旧東京都庁舎の壁画原画をはじめ、椅子や食器、鯉のぼり、テレビCMなど、多彩なプロダクトを展示。
なかでも映画『怪人ラプラスの出現』のために制作したロボットデザインのドローイングはユニーク。岡本太郎が特撮キャラまで作っていたことに驚くとともに、ロボットのユーモラスな姿に思わず微笑んでしまった。