ダイナミックな三段式スイッチバック
木次線の旅で、最大の見どころといえば、「三段式スイッチバック」です。スイッチバックとは、険しい山道などを上ったり下りたりするときに、列車の進行方向を変えながらジグザグに進んでいく仕組みのこと。鉄道技術が進み、⾞両の(登坂)性能が上がったり、⻑⼤トンネルで⼭越えができるようになった今、スイッチバック⾃体が少なくなって、すごく貴重な存在です。
そのなかでも、⽇本最⼤級のスイッチバックといわれているのが、出雲坂根です。
木次駅方面から来た列車は出雲坂根駅でいったん進行方向を変えます。遥か上には赤い三井野大橋が見えます。
さらに進み、2度目の方向転換をしてから、JR西日本で最も標高の高い駅の三井野原駅(726m)へ向かいます。
出雲坂根駅と三井野原駅の標高差はなんと162m! ぐんぐん上がっていくと、まず「奥出雲おろちループ」という日本最大規模の二重ループ方式道路が見えてきます。
この「奥出雲おろちループ」も、本当にヤマタノオロチのようで、構造物として圧巻。その後にループの最上部にかかる「三井野大橋」がバーン!と現れます。
山の奥深くに見えてくる真っ赤な三井野大橋は、まさしく絶景!
遥か上に見ていた橋が、気づけば見下ろす形で現れるので、「こんなに上ってきたんだ!」とビックリします。この橋があることで、 ⾼低差がよくわかり、スイッチバックを含むこの区間のダイナミック感がより伝わってきます。
⾕底に⾒えた列⾞が、バックして消えたあと、今度は天空に⾶び出してくるような様⼦は、鉄道好きの間では“イリュージョン”なんて呼ばれてるみたいです。⽊次線は紅葉も⾒事なので、紅葉の絶景とともに、貴重なスイッチバック体験をしてみてはいかがでしょうか。