季節はずれの夏日があったかと思ったら翌日は最高気温が10度近くも下がったり、朝夕はコートが必要な冷え込みでも昼間は汗ばむくらいの陽気だったりと、秋の特徴は気温差が激しいことです。ころころ変わる天候にふりまわされているうちに、なんだかぐったり、食欲もやる気も出ない・・・そんな方は多いかもしれません。仕事はもちろんスポーツや旅行など秋を思い切り楽しめる身体づくりのヒントを、愛知家医科大学循環器内科助教、後藤礼司先生に伺いました。

監修=後藤礼司 取材・文=轡田早月 編集協力=永坂佳子 写真=PIXTA

夏にいい汗を掻いてこなかった人はこの時期どっと疲れやすい傾向が!?

 この時期の不調の原因のひとつは、「汗腺の衰え」です。恒温動物である人間は汗腺から汗を出すことで体温調節をしています。汗腺には、体温が上昇した時に汗を分泌して体温が上がりすぎないように調整する機能がありますが、年中エアコン完備の中で過ごすことが多い現代人は、汗腺が退化して、汗の掻き方がヘタクソになっているのです。

 汗腺の機能が低下すると、回復するのに一週間はかかるといわれています。しかし、夏の暑い時期にエアコンの中にいて汗腺をうまく使ってこなかった人は、涼しくなる頃には汗腺がかなり衰えてしまいます。それによって、寒暖差に身体がうまく対応できなくなり、疲れやすくなってしまうのです。

 ちなみに、病院の中は常に適温に調整されていて、夏でも汗を掻きにくいので、病院に勤務している人は汗腺が衰えやすく、この時期バテている人が多い印象があります。

 

汗腺の機能がととのうサウナで、季節の変わり目のバテ解消に一役

 ちなみに高齢者が夏に熱中症になりやすいのも、汗腺の老化による体温調節機能の衰えが原因ですが、たとえ年齢が若くても、普段からあまり汗を掻かない生活をしていると、汗腺が老化します。汗腺が衰えたままでは、不調が改善しません。

 この状況から脱却するには、まず衰えた汗腺の働きをととのえる必要があります。そのために必要なのは、しっかり汗を掻いて水分摂取することです。

 おすすめ方法のひとつは、最近人気のサウナ。サウナは体温を上げて全身の汗腺から汗をしっかり掻いた後、水風呂に入って身体を冷やしてから休憩をし、水分補給をすることで、緩んでいた筋肉が引き締まり、血管がマッサージされて血行がよくなります。それによって疲労が回復し、体調がととのいます。

 サウナは「和温療法(遠赤外線温熱療法)」という遠赤外線乾式サウナを使った治療にも活用されており、医学的にも効果が認められています。

※心臓疾患や高血圧のある人はサウナを控えてください。