音読は自分の気持ちを伝える練習
私が音読を勧めているのも、自分の気持ちを表現する練習にもなるからです。
『論語』もそうですが、佐賀藩士が書いた『葉隠(はがくれ)』なども声を出して読むと、背筋が伸び、気持ちもビシッとなります。仕事上、管理職である人なら、主語と述語を短くはっきり言って、きちんと指示が伝えられるように、漢文式の文章を音読するとよいでしょう。
『一念一念とかさねて一生也』
『何事も願いさえすれば、願い出すものなり』(『葉隠より』)
また、和歌を読むとやんわりした話し方ができるようになるし、物腰が柔かい女性になりたいと思ったら、山手言葉で話す女性が登場する明治時代に書かれた小説を音読してみてはいかがでしょう。
「あら、なんてうれしいこと」
「よろしいかしら」
有島武郎の小説などがよいお手本となると思います。幸田文の小説や随筆もおすすめです。
「お会いできて」を「お目にかかれて」と言い換える
恩師やお世話になった目上の人との再会を喜ぶときは、「お目にかかれて光栄でした」という表現がふさわしいでしょう。
後日手紙やメールで伝える際には「ご尊顔を拝し、恐悦至極に存じます」という言い方をすると、さらにあらたまった表現になります。
「尊顔」は相手を敬って、その顔をいう言葉です。「恐悦至極」は目上の人に対してたいそう喜ばしく思うことなので、会えたことをとても嬉しく思っていることが伝わる表現です。