安達盛長ゆかりの地

●放光寺

 埼玉県鴻巣市糠田に建つ、安達盛長が創建したと伝わる古刹。

 伝承によれば、盛長の所領と館が糠田にあり、祈願所として放光寺を建てたという。

 放光寺には、盛長の肖像と伝わる木像「木造安達藤九郎盛長坐像」(埼玉県指定有形文化財)が残っている。木像は寄木造り玉眼入りで、出家後の姿とされる。

 

●安達藤九郎盛長の墓

 静岡県伊豆市修善寺にある安達盛長の墓は、以前は娘婿である源範頼の墓の近くにあった。生前、盛長は範頼と親しく、分骨して自分の墓を範頼の墓近くに建てさせたと伝えられている(成迫政則『武蔵武士(続)』)。

 安達盛長の墓は道路工事に伴い、現在の場所に移設された。

 

●無量寿院跡

鎌倉歴史文化交流館

 鎌倉では谷を「ヤツ」、または「ヤト」と称す。現在、鎌倉歴史文化交流館が建つ谷・無量寺谷も「むりょうじがやつ」と読み、安達氏の菩提寺である無量寿院や、安達邸があったと考えられている。

 平成14年(2002)に行われた敷地内の発掘調査では、鎌倉時代後期と推定される池の跡や、池の手前に礎石をもつ建物の跡も見つかり、これらの遺構も、安達氏に関連する可能性があるという。

 無量寺谷には、安達氏の夢の跡がまだ眠っているのかもしれない。