比企氏ゆかりの地
●扇谷山宗悟寺
埼玉県東松山市大谷に建つ寺院。伝承によれば、夫・源頼家を失った若狭局は、彼の遺骨とともに比企郡大谷村へと逃れた。そして、頼家の菩提を弔うために、比丘尼山に大谷山寿昌寺を建立したという。寿昌寺は、天正20年(1592)に寺の名を「扇谷山宗悟寺」と変え、現在の扇谷に移った。
宗悟寺では、若狭の局が持ってきたとされる頼家の位牌が現在も残されており、境内には「比企一族顕彰碑」が、地元の有志によって設置されている(編・著 西村裕 木村誠『探訪 比企一族』)。
●巌殿山正法寺(岩殿観音)
寺伝によれば、養老2年(718年)に開山された歴史ある寺院。埼玉県東松山市岩殿に建ち、岩殿観音(いわどのかんのん)の名で親しまれる。比企能員が北条政子の守り本尊として復興させた。
●妙本寺
神奈川県鎌倉市大町に建つ、日蓮宗最古の寺院。
比企の乱の当時、京都にいたため生き延びた能員の末子・比企能本(よしもと)は、鎌倉で日蓮に出会った。能本が屋敷を日蓮に献上し、一族の菩提を弔うためにお堂を建てたのが、妙本寺の始まりだとされる。
境内には、比企一族の供養塔のほか、焼け後に残っていたという一幡の袖が祀られた「袖塚」などが佇み、比企氏の悲しみの歴史を今に伝えている。